2020年6月19日金曜日

第2419話 毛ガニを食ったんだガニ (その1)

初めにお断りしますが、またまたカニでゴメンなさい。
何だか蟻地獄にハマッた蟻の如く、
蟹地獄に滑り落ちた心境であります。
いや、これはちょいと使い方が違うな、まっ、いいか。

目黒の「サンマリノ」を出たら、けっこうな雨足。
この空模様じゃ散歩はムリだ。
メトロ南北線、都営三田線、東急目黒線が通る、
JRじゃないほうの目黒駅に逃げ込んだ。

はてさて、何処で飲み直そう?
たまたま入線してきた南北線に乗った。
路線上の候補地は
麻布十番、六本木一丁目、四谷、飯田橋あたり。
だけど、雨の中を歩き回って止まり木を探すのはイヤだ。

ひらめいたのは日比谷ミッドタウンだった。
あそこなら様々な選択肢がある。
溜池山王で降りて通路でつながる、
千代田線・国会議事堂前のプラットフォームに移動する。

日比谷で下車し、改札直通のミッドタウン地下へ。
3階に上がって入店したのは立ち飲み「三ぶん」。
J.C.は今のところ、当店に加え、
銀座「しまだ」、勝どき「かねます」、北千住「徳多和良」を
”東京四大高級立ち飲み酒場”と勝手に定義している。
定義してはいるが、あえて”四大名店”とは呼ばない。
それぞれ一長一短があるからネ。

そして他の3店が個人経営に対し、
此処はピッツェリアをはじめ、
多店舗展開するグラナダ・グループの傘下。
同じカテゴリーで括るのは問題が無きにしも非ず。

「三ぶん」の隣りは「割烹酒亭 三分亭」。
厨房を共有しているから
そりゃ真っ当なつまみが出て来るワケだ。
雨のせいか空いており、客は半分も入っていない。
「三ぶん」だけに三分の入りである。
 
あまり好きではない、
昔ながらのアサヒ生ビール(800円)を所望する。
以前の製法で造られた生は苦みが強い。
現在のアサヒとキリンを同割りにしたらこんな感じ。
いや、キリンのほうに”頼近サン”だな。
 
「いっぱいイッパイ注がなくていいから泡少なめで―」
「ハイ、かしこまりました」
ほどなく
「大サービスですっ!」
周りの客からドッと笑い声があがった。
おう、おう、タンブラーに並々と、
あふれんばかりで泡はナシ。
コレだヨ、コレ、生はこうでなくっちゃイケないんだ。
単純なJ.C.、満面の笑みを浮かべていたに違いない。
 
=つづく=