2020年9月10日木曜日

第2478話 鶴見はキリンのお膝元 (その2)

焼きとん「とんちゃん」を出ると
雨はすっかり上がって陽射しがうっすら射している。
待合せまで1時間もあった。
鶴見の散策にちょうどよい。

JRの駅界隈より京急の東側が面白く、
旧東海道の名残りがそこかしこ。
第一京浜に出て南方をのぞめば、JR鶴見線の高架が見えた。
国道駅がある場所で、足下には「国道下」という居酒屋も―。
開店が16時半では立ち寄るヒマがない。

のみともと落ち合うのはJR駅西口の中華「満洲園」。
商業ビルのフーガ2の地下にあり、
ここも16時半開店のハズだが
同時刻に訪れると、すでに先客2組、
相方のオッサンは一番奥の席にいた。

キリン一番搾りの中ジョッキで乾杯。
確か970円だったかな?
ビールと前菜のセット仕立てがオススメらしい
冷菜・温菜から択べ、本日のそれは
棒々鶏とニラ玉炒め、一つづつお願いする
ニラ玉は細切り焼き豚入りだった。

「満洲園」を名乗るわりに満洲っぽい料理が見当たらない。
中国の東北地方は餃子の本場。
名物が餃子だから「満洲園」にしたのかな?
なるほど、薄いキツネ色は丁寧な焼き入れの証し。
皮と餡のバランスもよく、これは美味しい餃子だ。

紹興酒に切り替えると、なぜか台湾産の陳年。
満洲で台湾とはこれいかに?
瞬時にハタと閃いた。
そうか、どちらも日本の旧植民地じゃないか―。

紹興酒に合わせて注文したのは
豚肉ニンニクソース掛けと麻婆豆腐。
前者は中華の定番、雲白肉に似て非なる冷菜。
薄切りの豚バラがチリチリに湯引かれて
これはこれでけっこう。

逆に後者はほとんど豚挽きと豆腐のみ。
花椒があまり主張せず、コク味にも乏しいため、
凡庸な仕上がりだった。

時間に追われる相方のピッチが速い。
600ml 入りの紹興酒がカラとなり、
今度は日本酒をいきたいと言う。
300ml の沢の鶴をシェアしてお開きとした。

JR鶴見駅で別れたあと、
沿線の大森・大井町辺りで飲み直しの気分だったが
思いとどまり、空いてる電車に座った途端、
睡魔に襲われ、居眠りスタート。
ハッと目覚めたときには後車駅を一つ乗り越していた。
一駅で済んだのは不幸中の幸いというべきですネ。


「満洲園」
 神奈川県横浜市鶴見区豊岡町2-2 フーガ2 B1
 045-571-1198