2020年9月11日金曜日

第2479話 一杯のコーヒーから (その1)

茨城県の県庁所在地、水戸へ日帰りの旅。
何のために? ってか?
もちろん、旨い納豆を求めて・・・何てことあるワケない。
納豆はもともとそれほど好きでもないしネ。
これといった目的がないままに
しばらく訪れてないから行ってみた。

日暮里駅からJR常磐線に乗って30分弱、
列車は千葉県・柏に到着しようとしていた。
柏にもずいぶんご無沙汰だ。
此処にはカレーの佳店が何軒かある。
行き掛けの駄賃で昼めし食べとこうか―。

母親が営んでいた町中華を
息子がカレー屋にしちまった「大島」。
やって来たら、ありゃりゃ、赤いビニールテントが
雨風に打たれてズタズタの荒れ果て状態だ。
いっそのこと鉄の骨組みだけにしたほうがいいくらい。

店内はリーマン6人組がワイワイガヤガヤ。
ほかに客はなく、13時には彼らも社に戻っていった。
辛さ1.5倍のシャヒジャルカレー(950円)を注文。
カシミールカレーと並ぶ人気メニューらしいが
シャヒジャルが何を意味するのか、いまだに判らん。

ライスとカレーが別盛りでサーヴされた。
平たく盛られたライスは風紋のように波打っている。
ソースがキャラメルでチョコレート色に染まっている。
大きめの鶏もも肉が3個、四つ割りのじゃが芋が1片。
辛さより脂っこさが先に来るタイプでコク味はある。
添えられた小皿のスライスオニオン酢漬けが
箸休めならぬ、スプーン休めの任を果たす。

ポツポツと現れる客はオッサンばかり。
オーダーはやはりカシミールとシャヒジャルばかり。
あらためて店内を見回すと、段ボール箱がここかしこ。
整理整頓がまったく成されていない。

それでいてカレーに深みがあるから
醜女(しこめ)の深情けみたいな店だヨ、此処は―。
おっと、スタッフに女っ気はナシ。
女手がないと、ここまで散らかるんだねぇ。

柏駅を出たときに時刻表はチェック済み。
モタモタしてると水戸の一つ先の勝田行きに
乗り遅れることは承知していた。

会計に立ち上がった瞬間、コーヒーが運ばれてきた。
以前のJ.C.ならば、コーヒーなどパスもいいところ。
でも、今はいただく。
腰を下ろしたものの、熱くて一気飲みはインポッシブル。
どうにか飲み干し、急ぎ足で駅へ向かったが・・・
以下、次話へ。

=つづく=