2020年9月22日火曜日

第2486話 尾張の名酒場は終わりか?

勝手知ったる名古屋に到着。
名古屋駅から地下鉄・東山線で一つ目の伏見で下車した。
7番出口を上がると、目の前に「大甚本店」がある。
おそらく当地でもっとも知られた酒場が此処だ。

一歩足を踏み入れて違和感に襲われた。
ヤケに騒がしいのは何組ものグループ客のせいだ。
もともとオヤジ天国だが、それにしても何たる有り様、
オッサンの溜まり場と化していた。

加えてお運びの数が半端ではない。
立ちん棒を数えてみたら広くもないフロアに9人も―。
古くから居るオジさん2人のほかはみなアジア系だ。
アンちゃん一人に娘が6人で
言葉のイントネーションから人民共和国の出身ではなさそう。
たぶんヴェトナムかミャンマーと思われるが
あまりの激変ぶりに言葉が見つからない。

気持ちに整理をつけるため、久しぶりに深呼吸して
スーパードライの大瓶を所望した。
グラスを一気にあおり、外したばかりのマスクを装着。
板場の前のショウケースに進み、生モノの吟味に入った。

刺身の盛合せは真鯛昆布〆3切れ、甘海老4尾、
そして蝦蛄1尾だがコイツが小指の先ほどの小ちゃいヤツ。
それでも蝦蛄好きは手に取った。
小皿料理の並ぶテーブルへ移動し、択んだのは百合根。

ビールはすぐに無くなり、賀茂鶴の樽酒を常温で―。
昆布〆にはキチンと仕事が成され、甘海老の鮮度も高い。
蝦蛄だってそこそこながら、いかんせん、このサイズ。
食べてるほうが情けなくなってくる。
そこをカバーしたのが百合根だ。
上品な甘みが賀茂鶴にソッと寄り添う
滞空40分の勘定は締めて金2780円也。

チェックインはまだだがホテルに入るのは早い。
大須 or 栄で迷ったものの、ホテルに近い栄方面へ歩く。
広小路呉服町の裏路地に飲み屋が軒を連ねる一画で
立ち飲みのワイン酒場を見つけた。
その名も「Stan Dining やまびこ」と来たもんだ。
量を食べられないとき、立ち飲みは実にありがたい。

中ジョッキよりいくぶん小さいグラスの
生ビールはサッポロ黒ラベル。
泡少なめでなみなみと、この注ぎ方がJ.C.には理想だ。
どうみてもアルバイトのバーテンダレスだが
この娘、なかなかの使い手とみた。

野菜不足を補うため、カポナータを所望。
火の通し極めて浅く、生との相性がとてもよい。
2杯目はチリのピノ・ノワール、テラノブレ・リゼルバ。
いや、これまたグラスになみなみと、
どうやら彼女の辞書に”ケチ”の文字は無いらしい。

大甚本店」
 愛知県名古屋市中区栄1-5-6
 052-231-1909

「Stan Dining やまびこ」
 愛知県名古屋市中区栄3-8
 052-262-4300