2022年3月2日水曜日

第2962話 霜降り馬刺し フロム 熊本 (その2)

江戸川区・平井でようやく見つけた「みちのく」。

箸先でつまんだイカ塩辛はレベルが高かった。

明らかに手造りである。

ゲソ主体だがこれもまたよし。

ほうれん草のひたしも細い茎が柔らかく繊細。

 

人は見かけによらぬもの。

店も見かけによらぬもの。

予期せぬ当たりに頬がゆるむ。

ホタバタもマグブツもイケるものと思われた。

霜降り馬刺しは更にイケるんじゃないかな。

通してみた。

 

缶ビールのオジさんは頭上のTVにかぶりつき。

「ミヤネ屋」がウクライナ情勢を伝えている。

このとき別のオジさん二人連れ来店。

どちらも還暦は過ぎてるな。

テーブルに着き、酎ハイを発注した。

 

2本目の中瓶を追いかけるように

“熊”から届いた“馬”が運ばれる。

7切れの薄いスライスは偽りなく霜降り。

見るからに上物で口どけがすばらしく、

深川や吉原の馬肉専門店に

勝るとも劣らぬ代物だヨ、これは―。

 

甘みの勝ったニンニク醤油と

朝鮮焼肉店にありがちな塩&胡麻油。

小皿が2枚用意されたが

何のこたない、卓上のキッコーマンを

1~2滴垂らすのがベストだった。

 

突然、フロアに歌声が流れ出た。

掛け時計を見上げたら15時20分。

二人組がカラオケを始めたのだ。

オネエさんに訊ねると

カラオケは無料で歌い放題なんだと―。

 

若いほうが歌い出した「青いりんご」は

野口五郎の実質的デビュー曲。

初シングルの演歌が全然売れなかったからネ。

ポップス路線に切り替えての曲は簡単ではない。

それでもどうにか歌い切った。

 

続いてマイクを握った年かさは

同じ五郎の「私鉄沿線」と来たもんだ。

こいつはムリだろうと危惧したが

やはり高音が出ず、2番をギヴアップ。

相棒にマイクを預ける始末となった。

 

名誉挽回とばかり、年かさの再挑戦は

先月末に亡くなった西郷輝彦のデビュー曲、

「君だけを」で、こちらはOK。

そりゃ、五郎ナンバーとは難易度が違うわな。

 

追悼の意をこめた歌唱は思いのほかよかったが

これからずっと続くのを怖れて、勘定は2010円。

“かあちゃん酒場”を謳いながら

“かあちゃん”はいまだ出勤せずでした。

 

「かあちゃん酒場 みちのく」

 東京都江戸川区平井3-30-8

 03-3684-8605