2022年3月23日水曜日

第2977話 中延の 行列絶えた 人気店 (その2)

大井町線と都営浅草線が交差する中延。

キリンラガーをアサヒのコップで飲んでいる。

3席開けた斜め向こうで

店主とのやりとりを聞いていた、

常連サンが声を掛けてきた。

30代後半と思しき妙齢の女性だ。

しばし言葉を交わす。

 

レバーとチレ(脾臓)をタレで通した。

当店は大串につき、常連もみな1本づつの注文。

うわっ、デカいな。

レバーはともかく、チレがデカ過ぎる。

 

もともと独特の噛み応えのある部位だが

噛むのに一苦労、いや、二苦労。

これにはマイッた。

なんか拷問されてるみたい。

 

どうにか飲み込んだけれど

以前と比べて串はより大きく、

モツはより固くなってるな。

 

店の名物、カクテルに切り替えた。

妙齢サンはずっとそれを飲んでいる。

係のアンちゃんが作るところを見ていた。

 

まず大きめのグラスに氷を投入。

焼酎を注いで、正体不明のシロップを少々。

そうしておいてウイルキンソンの

辛口ジンジャーエールで満たす。

焼酎版モスコーミュールだネ。

 

会計を終えた妙齢サンが会釈してゆくので

こちらも頭を下げる。

週に何度か来店するそうだ。

 

2杯目のカクテルと煮込みをお願い。

柔らかく煮込まれた塩味ベースに

レバーやテッポウまで散見された。

 

店主によればコロ助襲来後、

ヒマな日が続いているとのこと。

現在のまん防令下またしかり。

入店困難だった人気店ですらこの有り様だ。

 

3杯目を傾けながら

あらためて壁の品札を見上げる。

ありゃあ、部位の最後のほうに

コブクロ(子宮) わっば(膣) どて(性器)

この三連発がすさましい。

 

何か一串貰おうと思ってはみたものの、

チレみたいなのが来たら往生するのでパス。

3040円也を支払い、夜の町に出た。

今日はおとなしく、このまま帰ろう。

 

♪ 帰ろうよ 灯りも消えた

飲めるじゃないか また明日 ♪

 

裕次郎も歌い出す。

 

「忠弥」

 東京都品川区東中延2-10-9

 03-3783-2257