2024年8月14日水曜日

第3601話 スペインにも魔王があった

その日の昼めし後の散歩は炎天下。
神楽坂下から外濠沿いを行き、
市谷亀岡八幡宮のふもとに到達した。
汗を拭きながら急な石段を上り、
八幡さまに参拝する。

此処はかの太田道灌が江戸城築城の折、
西方の守護神として鎌倉の鶴岡八幡宮を
分祀したのが始まり。
鶴岡(つるがおか)に対しての
亀岡(かめがおか)なのだ。

当時は市谷御門内にあったが
寛永期に外濠が出来た際、現在地に移転。
三代将軍・家光の加護を受け、
境内には茶屋や芝居小屋も出来て
賑わいを見せるようになった。

愛読する永井荷風「つゆのあとさき」に
たびたび登場し、彼にとって
思い入れの深い場所だったことが
ひしひしと伝わってくる。

その八幡神社の石段下に
1軒のスペイン料理屋を見とめた。
「エル・チリンギート」は
スペイン語で ”海の家” や屋台食堂の意。
昼の営業は、火・水・木の週3日のみ。
料理もスペイン風チキントマトカレー、
これ1品だけである。

10日後に訪れた。
生ビールもあるようだが
スペインのビールが飲みたい。
いろいろ揃ううち、Maouをお願いした。
ん? マオウ(魔王)?
音楽ファンなら第一感はシューベルトで
呑み助なら鹿児島県錦江町の芋焼酎かー。

再び、ん? スペイン産にしちゃ重いな。
まっ、いいか。
カレーはスパイス感がイマイチ。
水準には達しているが
わざわざ食べに来なくとも・・・てな感じ。

トッピングは野菜か豚バラのグリルで
どちらもたった100円。
豚バラをチキンに加えては
カレーがトンチキになるので野菜にすると
大根・かぼちゃ・さつま芋だった。

会計は1852円也と細かい。
外濠を市ヶ谷橋で渡って
靖国通りを上り、九段坂を下って昭和館。
昔懐かしいニュースを観ていこう。
そのあと神保町「魚勝」に立ち寄り、
M奈チャン相手に白ホッピーとまいろう。

「エル・チリンギート」
 東京都新宿区市谷八幡町12-1
 03-5579-2858
 050-5890-8477