2024年8月20日火曜日

第3605話 東京にも鎌倉がある(その2)

京成小岩で途方に暮れ之助。
駅前南口に1軒だけ「新まつり」なる、
赤ちょうちんが開いていた。
ただし、品書きの ”し” の字もなく、
店頭にビールのラックがあるでもなく、
情報が皆無では踏ん切りがつかない。

北口に廻った。
こちら側のほうが拓けているようで
牛めしや焼き鳥のチェーン店があった。
京成小岩商栄会なる商店街が
新柴又方面に延びている。

するとこの商店街、
途中から千代田通り商店街に切り替わる。
ちょうど江戸川区と葛飾区の境目で
地番は再び鎌倉の4丁目。
懐かしの昭和がプンプンと香りまくる。

この道は以前、確かに歩いたゾ。
いつだったか思い出せない。
おそらくJR小岩から
京成高砂に向かったんだろう。

シャッターストリートでもないのに
軒並みシャッターが下りているのは
お盆のせいとしか考えられない。
飲食可能な店は1軒としてなく、
営業中は洋菓子「ピノキオ」と
生うどんを小売りする「大沢製麺所」のみ。

いや、もう1軒あった。
ハンバーグやパスタが食べられる。
食べられるけど人間だけで入れるのかな?
「DOG CAFE BEE」。
その名の通り、ワンちゃん連れ用カフェだ。

中をのぞいたら若い娘に相撲取りが2人。
鬢付け油の甘い匂いが店外に漏れ漂う。
足元にワンコが1匹寝そべってるが
おい、おい、相撲取りに
四つ足は験(げん)が悪いぜ。

結局は薬局、駅チカに戻り、
唯一開いてた「らーめん殿」のカウンター。
相当年季が入った店だ。
どうせ何処かに移動するから軽いものをー。

ドライ中瓶を飲みながらメニューを眺め、
おつまみセット(400円)を見つけた。
これしかあるまい。
脂身ビッシリのバラチャーシュー3枚、
かなりの量のシナチク&茹でもやし。
オネバさんとオネエさんのツーオペである。

中瓶追加で1760円の会計時、オネエさんに
「お店に "殿" は居ないのネ?」
「いいえ、いつも居るんですけど、
 たまたま今日は・・・」
そりゃそうだ、男手ナシで「らーめん殿」じゃ、
どうにもカッコがつかないヨ。

「らーめん殿」
 東京都江戸川区北小岩6-11-13
 03-3671-8500