2012年7月5日木曜日

第353話 ほどなく小岩を再訪 (その2)

朝7時から飲める稀有にして奇特な居酒屋、
小岩の「銚子屋」にまた来てしまった。
爺チャン、婆チャン、お嫁チャンで営む、
三チャン商業は客をして応援したい気持ちにさせる。
しかも駅からトコトコ歩いてゆくに値する飲み屋なのだ。

北国の友を誘い込んだ小岩の一夜。
昨日紹介した「大竹」とこの「銚子屋」で
相方は満足するハズだ。
ビールを頼んだらクラシックラガーの大瓶が登場。
あれれ、確か前回はスーパードライだったんだけどな。
これは単に銘柄とサイズの指定を忘れただけのこと。
中瓶がドライであった。

壁に掛かったホワイトボードにはこうあった。

銚子直送
 釜あげしらす   400円
 めかじき照やき  600円
 いかやき      500円
 あじさしみ      400円
 いわしさしみ    400円
 鯨ベーコン     550円

そこで、あじさしみと鯨ベーコンを所望する。
すると、あじはそこそこ。
くじベコは値段のワリに質自体は悪くないものの、
振りかかった”化学の子”がいかんともしがたい。
そう、日本のある年齢層、とりわけ昭和30年代に
ちゃぶ台を囲んで食事を摂っていた人々は
この化学の呪縛からなかなか逃れられないのだ。

ひとしきりくつろいでお勘定。
「もうお帰り?」
「いや、たぶん駅前でもう一杯かな?
  『浅草バー』あたりで軽くネ」
「ああ、あそこはあと2~3日で閉店するんだよ」
「エッ、エエ~ッ! 本当ッスかそれ?」
「うん、こないだ新聞に出てた」

普段あんまり驚かないJ.C.が色を失う。
だが、ちと待てヨ、情報が閉店後じゃなくって助かったぜ。
心なしか早足で小岩駅前にとって返したのだった。

「浅草バー」では運よくカウンターの店主の真ん前。
いろいろ話を聞くと、出身は浅草の大衆酒場「ニュー浅草」。
なるほどネ。
営業は今夜を含めてあと3日。
その翌日は常連を集めてのお別れパーティーなんだと。

どうにかスレスレで間に合った。
もうしばらくすれば、
リリーの背後に映ったあの看板も撤去されるだろう。
東京在住の寅さんファンなら
「ハイビスカスの花」を観たうえで
小岩の町にお出かけください。

「銚子屋」
 * 一昨日のブログを参照してください