2012年7月17日火曜日

第361話 赤羽発・十条経由・駒込行き (その2)

やって来ました東十条の町。
赤羽は街だがここは町。
違いはどこにあるんだ? と問われても
これが違いだ! と明確に指摘はできない。
ただ、個人的に漠然と区別しているのは
そのマチの持つ、サイズとパワーの差かな?
実際に東京を例にとれば、
銀座・新宿・渋谷・池袋・上野・浅草・品川等は街で
日暮里・根津・大塚・広尾・白金・月島・森下等は町。
ン? 大阪ならどうだ? ときましたか。
いえ、上方のことは存じません。

てなこって東十条。
焼きとんの「埼玉屋」がもっとも有名な店だが
ここへは軽く立ち寄るというわけにいかない。
タップリ飲んでガッツリ食わないとオヤジの機嫌が悪くなる。
要するにあちこちハシゴなかせずに
寄るのはウチだけにしろよ! という無言の圧力。
ヨソに金を落とすことなく、すべてここに置いていけ!
という、意地悪な見方をすれば
業突張りな経営方針なんだよなァ。
居酒屋・カラオケ・ラーメン店、みんな揃えて
カモを町に逃がさない、行楽地の大ホテルみたいなもんだ。

「埼玉屋」より気軽に入れる「新潟屋」もある。
思い描いていた候補店の一つだった。
ところが店先にはすでに数人の客がたむろ。
それならと向かったのが日本そばの「和久」。
未踏ながら評判はちゃんと聞き及んでおり、
悪いものではなかった。

ちょいと歩けばすぐにノドが渇き、
ビールの旨さを倍加させる。
突き出しにバイ貝の煮たのと梅酒の梅がお出まし。
小ジャレた組合せ
つまみはそば味噌と板わさだ。
板わさの盛りつけが美しく、おろし立ての本わさもたっぷり。
芋がらがこれまたシャレでいる
さてさて、そば屋に来て、そばを食わにゃあハナシにならない。
しばらく品書きとにらめっこした末に
M鷹サンはかき揚げせいろ、J.C.は二色そばを注文。
御前と田舎の二色盛り
意外なことにこの店の魅力は田舎であった。
イタリアンのパスタのごとく、噛み締め感が快適だ。
田舎はヒドいのに遭遇すると、
どうにもならないものだがコイツはいいや。

だがネ、問題はわさびだ。
板わさのときには100%モノホンだったのに
そばには混ぜを添えてきた。
鮨屋ですらつまみは本わさ、にぎりは混ぜわさなんて
セコいマネをする店があるくらいだから糾弾はしないが
画龍点睛を欠くとはこのことだ。

今度は東十条をあとにして
一路、駒込を目指す二人でありました。

「和久」
 東京都北区東十条1-18-1
 03-3912-0883