2012年8月10日金曜日

第379話 ゴイサギ参上! 動物園こそわが楽園 Vol.1

吉田グレート! 危なげナシ。
なでしこ残念! 1点が遠かった、
2点目が痛かった、一度同点にしておきたかった。
五輪は以上!

気を取り直して今日は新しいシリーズをお送りしたい。
去る5月、上野動物園の年間パスポートを購入した。
電車の定期券同様に毎日利用しようが
日に何回出入りしようがOKで2400円。
入場料が600円(大人)だから
季節毎に訪れたらラクに元が取れちゃう。
上野動物園を舞台にしたシリーズ、
題して「動物園こそわが楽園」の第1回であります。

恩賜上野動物園は1882年の開園。
今年はちょうど130周年の節目に当たる。
JR上野・公園口が最寄り駅の表門(正門)から
入園するとそこは東園、右手にジャイアントパンダ舎がある。
千代田線・根津が最寄りの池之端門から
入園すればそこは西園、正面にフラミンゴの池がある。

弁天堂に近い弁天門は出口専用。
京成上野が最寄りながら上野・不忍口、
銀座線・上野広小路からも遠くはない。
弁天門を出るときはいつも
飛べないオオワシのつがいに見送られる。
園内でもっとも憂いを漂わせるのがこの2羽。
愛しむべし。

グルリ園内を一回りしたあと、
J.C.がたたずむのは西園の鵜の池のほとり。
目の前に”水”があると心が安らぐ。
そばにペンギンがいて気に入りのスポットになっている。

ペンギン池にいつも3~4羽で参上するオジャマ虫がコイツだ。
エサの横取りをたくらむゴイサギ

漢字で五位鷺と綴るこの鳥が好き。
他の鳥が侵入しないよう、ピアノ線が張り巡らされているのに
やすやすとくぐり抜ける知能犯がこのゴイちゃん。
寒冷地を除けば世界中どこでも見られるサギの一種だ。
五位鷺の名前の由来は平家物語にまでさかのぼる。
醍醐天皇の指示により捕獲されたため、
正五位の位階を叙されたという故事にちなむ。

五位と聞くと芥川龍之介「芋粥」の主人公・五位が思い浮かぶ。
名前ではなく位階で呼ばれる人物を芥川はこう記している。

摂政藤原基経に仕えている侍の中に、
某(なにがし)と云ふ五位があった。
これも、某と書かずに、何の誰と、
ちやんと姓名を明にしたいのであるが、
生憎旧記には、それが伝わっていない。

ということ。
ただしこの五位は下級官吏、正五位じゃなく従五位と推測される。
正五位のゴイサギより格下の従五位は
鳥にも劣る芋粥、もとい、芋侍なりけり。

ところで動物園の五位はペンギン宅で何をしておるのか?
これはネ、プールの下に沈んでいる小アジが
ハイスピードで泳ぐペンギンの起こす水流で浮き上がるのを
ひたすらジッと待ち続けているところ。
もぐれぬ五位、浮き上がりを待つの巻なんざんす。

ゴイサギとペンギン、ひょうきんな組合わせでござんしょ?
仲良くはしないが、いさかいも起こさないところが利発だ。
互いにわれ関せずの不感症、もとい、不干渉をつらぬいている。
われら人間もこんなふうに隣人とつき合いたいもの、
鳥たちに学ぶべし。