2012年8月28日火曜日

第391話 精はしっかりつけたけど・・・ (その2)

若者にも中高年にも人気の散歩スポット、
谷中はよみせ通りの「山ぎし」にいる。
この日の昼めしはぜいたくをしてうなぎ。
といっても金九百円也のうな丼だけどネ。
千円札2~3枚は覚悟の重箱なんか奢ってしまったら
家計のひっ迫は火を見るより明らか、
瀬戸物のドンブリでジッと我慢の子になった。

壁の短冊を見上げながら、うな丼が整うのを待つ。
そういやあ最近、ねづっちを見掛けないなァ。
おっと、ここは根津じゃなくて谷中でした。
夜に来たらつまみに何を注文するかナ?

 里芋煮260円 肝の佃煮. 鯉こく 上新香 各300円
 鯉のあらい500円 うざく うまき 各600円

ホントだねェ。
店頭にあった貼り紙の通り、かなり安い値付けだ。
見ているうちに里芋の煮たヤツで一杯飲りたくなった。
いや、ここは我慢、ガマン。

 たまにはイタリアン あらいのカルパッチョ 650円

奇抜な一品があった。
鯉のカルパッチョかいな、こりゃイタリア人もビックリだ。
でも少々、気色悪いネ。

運ばれたドンブリはドンブリではなかった。
ちょいとデカめの茶碗であったのだ。
貧相な主役は半尾あるかないか。
大ぶりのうなぎは途中で飽きるから不満はないが
茶碗ってのが引っかかるんだよねェ。
まっ、うなぎ自体は可も不可もナシというところ。

それより2本の肝焼きが巨大。
貧弱な蒲焼きをカバーするかのごとくだ。
レバーや腸管を背びれ+身皮のえり巻きが
グルリ取り巻いて異様な姿をしている。
えり巻きのせいで肝心の肝に直火が当たらず、
香ばしさの欠如をもたらしている。
精力だけはしっかりつけたものの、
策士、策に溺れるの典型例がここにあった。

新香は大根・きゅうり・白菜。
吸い物はわかめと三つ葉。
どちらもおざなり、パッとしない。
そして許しがたかったのはヤワヤワのごはん。
めしをにぎってつぶてを作り、
炊いた張本人に投げつけてやりたくなった。
もっともこんなにヤワくちゃ、
バラケちまってつぶてにならんか・・・ ハア。

「山ぎし」 
 東京都台東区谷中3-13-9
 03-3827-5763