2012年8月22日水曜日

第387話 夏の日の朝食 (その2)

米を研いだあとは副菜、いわゆるおかずの調製だ。
チキンスープ用に買い置いてあった鳥手羽中を2本、
塩を振ってオーヴンで焼き上げる。
酒のつまみなら塩は軽く、飯のおかずには塩を強めがコツ。
この程度の気配りもしないで旨いものには出会えない。

デカいボールいっぱいにプカプカ浮いてる水ナス浅漬けが
ちょうど食べ頃、これには和がらしを添えて。
茄子紺に芥子の黄が映えて美しい。
新生姜の味噌漬けもまことにいい塩梅だ。
信州上田の長野味噌による蔵の禅を
月桂冠で溶いたところへ新生姜を埋め込んだだけなのに
香り・歯ざわり・味加減、まったくもって非の打ち所ナシ。
デパ地下に出荷したいほどのものである。

こういう小物はいとも簡単、誰でも作れるから
なるべく自分で挑戦することをすすめたい。
第一、ずっと安上がりだ。
たくあん・野沢菜・千枚漬け・奈良漬けみたいに
シロウトが太刀打ちできない特殊なモノはベツとしてネ。

生野菜も摂らにゃあいかんと
プチトマト&きゅうりを塩&マヨネーズで。
天城育ちなる市販のわさび漬け、
自家製茎わさび酢醤油漬け、
同じく自家製しその実醤油漬け、
上記3種を1皿に少量ずつ盛合わせ、
茎わさびには本わさびをおろしてやる。

う~む、だいぶ夏らしくなってきた。
しかしここで手を抜いちゃいけない。
決め手は何であろうか? そう、味噌汁でありましょう。
味噌汁のない朝食なんて
紐の切れた越中ふんどしとおんなじ。
慎重に汁の実を吟味した。

夏の味噌汁となれば、
ミョウガとナスなんてのがすぐに思い浮かぶ。
ナスだと水ナスと重複するからなるべく控えたい。
野菜庫をチェックして選抜したのは
白瓜・キャベツ・新じゃがのトリオ。
出汁はいりこ&昆布である。

そして最後にここが肝心なところで
新生姜の味噌床を使った。
生姜の水分と日本酒のおかげで
トロリとペースト状になってるヤツを溶かし入れたのだ。

いやあ、朝っぱらから飯をお替わりしちゃいました。
いずれ劣らぬ良品のなか、
MVPは新生姜の移り香さわやかな味噌椀でありました。
自分自身に、ごっそサン!