2012年8月27日月曜日

第390話 精はしっかりつけたけど・・・ (その1)

汗だくだくで真昼の寺町・谷中を歩く。
牛丼やかつ丼のつゆだくは大嫌いだが
汗だくは嫌いではない。
ゴルフを断って12年、運動をまったくしないから
歩け歩け運動のほかに何があろう。

夕陽見の名所、夕焼けだんだんは
JR山手線・日暮里駅と
東京メトロ千代田線・千駄木駅の中間あたり。
階段の下から始まる谷中銀座は日暮里が最寄りだろうが
よみせ通りは千駄木が近そうだ。

その日は少々奢って昼めしをうなぎとした。
よみせ通りの「山ぎし」は初訪問。
店先がゴチャゴチャと整頓不行き届きにつき、
ずっと入る気がしなかったのだ。
たまたま店頭に界隈で一番安いうなぎ屋云々とあり、
つい誘われて敷居をまたいでしまった。
はたして吉と出るか、凶と出るか。

数年前、鳥越おかず横丁に同名店があり、
一夜、出掛けて行ったら閉業していて食べ損ねた。
東大農学部前から白山上に抜ける通りにも
やはり同名の小ぢんまりとした店が
こちらは今でもある。
持ち帰り専用店のようだが試したことはない。

さて、谷中の「山ぎし」である。
うな丼が900円と激しく安い。
うなぎの稚魚の不漁に端を発したうなぎ高騰のご時世に
この値付けはまさに「インフレ飛んでけ!」だ。
いや、ご立派。

ただ、不安になったのはこのドンブリ、
店頭に価格表示があったのに
卓上の品書きには裏表ひっくり返しても見当たらないのだ。
おひやを運んでくれたアンちゃんに駄目元で
「うな丼ください」
「ランチのうな丼ですネ?」
「エッ、ハイ!」
てなこって一応、注文可となった次第。
隠すなよな、ちゃんと書いといてくれよな。

同じく店頭に2本で340円とあった肝焼きもお願い。
ところがこの肝焼き、壁に貼られた短冊の値段のところが
張り替えられて500円に改定されている。
今さら1本にしてくれとも言えないし、まっ、いいか。

後学のために品書きをあらためて吟味する。

うな重
 松1400円 竹1800円 梅2000円 桜(フルーツつき)2500円

定食
 きじ焼き 柳川 鯉(あらい&鯉こく) 親子鍋 各1050円
 うな玉鍋1250円

うな重の最安値が1400円だぜ。
900円じゃいったいどんなドンブリがやって来るんだろう。

=つづく=