2012年8月20日月曜日

第385話 真ゴチと水ナス

マゴチというサカナをご存知だろうか?
漢字では真鯒と書く。
大きなハゼを上から押しつぶしたような魚体は
カレイやヒラメ類みたいだがコチは左右対称のシンメトリー。
カレイたちのようにひん曲がったひょっとこ顔とは大きく異なる。
オスとして成熟し、繁殖後に今度は
雌に性転換して繁殖に参加するという、
”雄性先熟”の特性を持つ、稀有な魚種だ。
旬はちょうど今、刺身や洗いがめっぽう旨い。

電車賃を払ってでもちょくちょく出掛ける北千住マルイの地下、
「食遊館」はJ.C.気に入りのスポット。
野菜・鮮魚・精肉、すべてが揃う。

鮮魚売り場でマゴチの刺身と薄造りを見つけた。
薄造りをポン酢でやるのも悪かあないが
刺身に本わさが旬のコチにはふさわしかろう。
一人前ほどで680円、バスケットにストンと落とす。
「食遊館」の鮮魚売り場はかなり広い。
奥の丸一尾売りコーナーに来たら
何と良型のマゴチが780円とあった。

こういうときのリアクションはすばやい。
先刻の刺身を元の位置に戻し、
丸一尾を三枚おろしにしてもらった。
当然、アラも持ち帰る。

野菜コーナーでは泉州の水ナスのデカいのが5個198円。
食べ切れそうもないが値段が値段、買わない手はない。
浅漬けの自家製造を決断する。
概して出来合いの水ナスは雑味が多すぎ。
調味料(アミノ酸等)が元凶なのだ。
新生姜の小さなパックと黒豆もやしを1袋買い求めた。

最後に精肉売り場で黒豚の小間切れを120グラム。
これでパーフェクトであろう。

その日の夕暮れ、厨房に立つJ.C.の姿を見ることができた。
ビールを飲みながら華麗なる包丁さばきである。
小1時間後、食卓に並んだのは

 マゴチの刺身・アラ煮・味噌椀
 黒豚&黒豆もやしの塩味炒め
 新生姜スライス
 水ナス浅漬け

マゴチはとても食べきれず、後日用に昆布〆を仕込む。
それでも余ったので軽く塩をし、日本酒を振り掛けて冷蔵庫へ。
これは翌日、バタ焼きかムニエルにするつもり。

本わさと酢橘(すだち)でやった刺身が実にすばらしく、
潮汁の代わりに味噌仕立てにした椀もかなりのものだ。
アラ煮は味がよいものの、鋭い小骨に難渋することしきりであった。

黒豚が不味いわけはなく、もやしはシャキッとした黒豆に限るネ。
新生姜、殊に柔らかい部分は谷中生姜の上をいった。
水ナスはほとんど生(ナマ)の即席漬け。
漬けた溶液は塩水に日本酒と米酢を少々注いだもの。
味付けというより一種の腐敗防止策だ。
水ナスは1/8割り、1/4割り、半割りにして
溶液にプカプカと泳がせておき、小さい順に食べ進むつもり。
完食するまで1週間はかかろうが、何ごともナスば成る。

「北千住マルイ食遊館」
 東京都足立区千住3-92
 03-5244-0101