2013年11月4日月曜日

第700話 芝エビ偽装にゃ 裏がある

一昨日の早朝、旅先のホテルで独りさみしく朝食をとる。
岡林信康の「山谷ブルース」じゃないが
 ♪ 一人ホテルで 食う飯に
    帰らぬ昔が なつかしい ♪
である。

化調まみれのオカズに辟易としながらも
こればかりは飛び切り旨い炊き立ての白飯を
化調ヌキの目玉焼き(当たり前か)で1膳しっかり食べた。
こなさなければならないミッションは
午後からで心身ともにリラックス。
食後、レストラン据え付けの読売新聞を読み流す。

飲みつけない、しかも旨くも何ともない、
コーヒーをすすりながらページをめくっていると、
目に飛び込んできたのが、かくなる見出し。

 仙台の2ホテル  他のエビ使い「芝エビ」
 県内初の誤表示  「偽装意図なかった」

ホテルやゴルフクラブでの食材偽装が
にわかに巷を騒がせている今日この頃。
舞台は首都圏・近畿圏どころか、
日本全国津々浦々の様相を呈してきた。
多いのはやはりエビ類の誤表示で偽装芝エビ以外にも
ブラックタイガーやクマエビを車エビ、
ロブスターを伊勢エビなどと偽るケースが目立つ。

記事によれば、両ホテルともに偽装の意図を否定している。
新聞社の取材に対する弁明を見てみよう。

まず、江陽グランドホテル。
「食材に対する認識不足による誤表示で、
 偽装の意図はなかった」

続いて仙台国際ホテル。
「仕入れの都合でエビを変更せざるを得なかった。
 お客様におわびしたい」

2ホテルのエクスキューズは微妙に異なる。
江陽は開き直っているフシがあり、謝罪の言葉はない。
一方の仙台国際は都合でエビを変更せざるを得なかったと
白状したうえで、謝罪している。
都合というのはもちろん金の問題であるハズだ。
私見ではこちらのほうがより真っ当に思える。
日々、エビを扱う一流ホテルの料理人が
芝エビの何たるかを知らぬハズがない。
江陽の食材に対する認識不足という言い訳にはムリがあるのだ。

読売新聞を読んだ当日の午後。
日本料理店の料理長と話をする機会があった。
彼曰く、
「ボクはその料理人たちが可哀相に思います。
  仕入れ値を抑えろという指示が上から出てるんですヨ。
 それでメニューは芝エビでいけ!ですからネ、おそらく」

ふむ、ふむ、こりゃ、一理あるゾ。
悪いのは現場じゃなくてマネージメントだな、きっと。
食材に対する認識不足だなんて
責任をなすりつけられたらたまらんヨ、現場は!
悪い奴らはいつも雲の上に隠れて
常に下々が尻拭いさせられる図式。
何だか東電による福島第一原発の汚染水処理みたいじゃないか。
この国の大きな汚点、腐った膿をまたもや見た思いがしやした。