2013年11月29日金曜日

第719話 「俺のフレンチ」、俺は好まぬ! (その2)

久方ぶりに逢うやくざのK、もとい、薬剤師・K村サンと一緒に
意想外の「俺のフレンチ」に入店すると、
そこは立ち飲みスペースだった。
それもやたらめったら狭くて
隣りのOL(?)二人組とは袖摺り合う仲のニアミス状態だ。
何だよコレ、酒屋の角打ちより狭いじゃん。

気を取り直して、さて、さて、
相方の頭の中はクレーム・ブリュレ一色に染まっているハズ。
さっそくそいつをオーダーしてやがら・・・。
それに”俺の白”と名付けられたグラスの白ワイン800円也。
セパージュはシャルドネ、だったかな?
こちらはポルティーヨなる造り手のピノ・ノワールで500円也。
アレゼンチンの産である。
この国のブドウとなれば、マルベックだが
やはりありました、ピノと同値だ。

グラスワインとともに3種のオリーブ盛合わせが運ばれた。
オニイさんが言いました、「アミューズです」
鮮やかな緑、真っ黒、オリーブ色の三色は大量だ。
(オリーブばっかり、こんなに食えるかヨ)
口には出さず、胸の奥で毒づく。
と、同時に「こんなに食べられないわ」―相方がが口にした。
ごもっとも、ごもっとも。

再会を祝してグラスをチン!
1杯だけで河岸を替えるつもりでも、つまみが一品ほしい。
オリーブだけじゃ味気ないもん(まだ言ってるヨ)。
そこで選んだのは蝦夷アワビのキャビア添え(680円)。
数に限りがあるため、お一人様1個までという注釈付きだ。
高級食材コンビでこの値段、聞きしに勝る安さではないか。

数分後、現れたアワビを見てオロロいた。
相方も一べつくれて苦笑いの巻。
何とまァ、ちっこいこと! 蝦夷だか房総だか知らんが、
こんな未成熟なアワビを獲っちゃっていいもんかしら?
こりゃどう考えても、キャッチ&リリースだろうヨ。
何せ親指と人差し指で作ったワッカより小さいんだもの。

ところが、ちょこんと乗ったキャビアは本物であった。
模造品のランプフィッシュの卵を黒く染めたヤツなんかじゃない。
ただし、真っ当なカスピ海産に非ず。
訊きそびれたが養殖に間違いない。
ここ数年、世界のあちこちで養殖モノが出回っているからネ。
クレーム・ブリュレは安くてデカくてデキも悪くないけれど、
極小アワビはアカンわ、小粒がいいのは山椒と納豆でっせ。

たかだか15分でお勘定、レシートをチェックすると、
大量に食べ残したアミューズのオリーブが300円X2、
しっかり600円もチャージされていた。
いかに若者たちの支持を得ていようとも、
「俺のフレンチ」、俺は好まぬ! フンだ!

「俺のフレンチ 神楽坂店」
 東京都新宿区納戸町12
 03-6265-3907