2013年11月11日月曜日

第705話 キジに劣らぬキジハタの味 (その1)

50年前の今日(11月11日)のことはよく覚えている。
当時、J.C.は紅顔の美少年ならぬ、歳のわりにはヒネた小学六年生。
授業中、隣りにいたクラスメートが
今日は”11.11”だネ、とつぶやいたからだ。

まっ、どうでもいいことだから前へ進んで
野鳥にしてわが国の国鳥、キジのおハナシ。
ケーン!と鳴いちゃ、鉄砲で撃たれちゃってるらしい。
キジも鳴かずば撃たれまい。
杉内も投げずば打たれまい。
タハッ、まだ日本シリーズを引きずってるヨ、やれやれ。

ところが実態は毎年数万羽も放鳥されているのに
ほとんどキツネや猛禽類のエジキになり、
ハンティングの対象になるのはごく少数だという。
そして驚いたことに飛ぶのが苦手で走るのが得意なんだと―。
ダチョウみたいなヤツなんだネ、まったく。

キジは引き締まった白身の肉質を備え、たいへん食味がいい。
概して禽類の身肉の色は紅白に分かれる。
分類してみよう。

紅組 ・・・ カモ ハト ウズラ ツグミ シギ スズメ ダチョウ
白組 ・・・ キジ ホロホロ鳥 七面鳥 ニワトリ

禽類ではないが面白いのはウサギで
飼いウサギの身は白いのに野ウサギのそれは深紅。
これは与えられる飼料と獲得するエサの違いが原因だろう。

久しく口にしてないけれど、キジのローストが食べたいな。
南信州にキジの養殖場があり、
肉や卵の取り寄せが可能ながら値段は相当に張る。
ニューヨーク在住時代、
よく訪れたイタリア料理屋、「Il Cantinori」では
いつもウサギ背肉のローストを注文したが
イノシシやキジが入荷した日はそちらに切り替えた。

キジはイタリア語でファジアーノ。
サッカーのJ2に所属するファジアーノ岡山のネーミングは
郷土ののヒーロー・桃太郎が連れ行く家来の一員に由来する。

ここでハナシはキジから一足飛びにキジハタへ。
何じゃそりゃあ? と声を荒げる向きも少なくあるまい。
主として磯の岩礁を棲み家とするサカナにハタがいる。
しっとりとした白身は広東料理の清蒸(チンチェン)にしたらもう最高。
香港やシンガポールではもっとも珍重されるサカナなのだ。

香港は九龍の「竹園」では大小さまざまなハタ類が水槽にひしめいて
客のご指名を待ちながら最後のスイミングにいそしんでいる。
サイズ豊富な品揃えがありがたく、
カップルでもグループでも使い勝手がよかった。
手ごろな値段もうれしくて
これが「福臨門酒家」なんぞで食べようものなら
目ン玉は飛び出し、軽くなった財布が宙を舞う。
まるで星野の仙チャンみたいにヨ(まだ言ってら)!

先日、香港に行って来た友人の言うことにゃ、
昨今のハタ類の値上がりはすさまじいらしい。
前述の「竹園」も例外ではないかもしれない。
久しく行ってないから、もしも高騰しちまってたらゴメンなすって。

=つづく=