2014年2月18日火曜日

第776話 兵庫横丁の隠れフレンチ (その2)

和建築ではないが民家を活用した「ARBOL」。
なだらかにくだる兵庫横丁の中腹にある。
横丁の名前の由来は鎌倉の昔、
武器商人の町であったことから―。
 兵庫→兵器庫→武器庫
ということだ。

「ARBOL」はテラスも備えており、
寒い時期はクローズしているが夏場の週末など、
外まで客があふれていた。
前述した通り、玄関にはご丁寧に“F田”の表札あり。
階上に誰かが住んでいるとも思えないが、
それならば、何のための表札?

鎌倉の昔から、もとい、
現代の鎌倉からやって来た、のみとも・P子を伴って訪問。
ダイニング・フロアにはゆったりした空間が拡がる。
手軽な価格の豊富なワインが魅力だ。
周りを見渡すと、若いカップルやグループ利用が目立つ。
年配者はきわめて少なく、わが身が最年長ではなかろうか。

通されたのは大テーブルの相席。
とはいっても隣りとの間隔が保たれており、ストレスは感じない。
アサヒ熟撰の生は小さめのグラスで600円、J.C.はそれを。
相棒はグラス700円のシャンドン・ロゼだ。
グラスワインはおおよそ700~950円といった値付け。
当夜はこのあと、神楽坂下の焼き鳥屋に流れる腹積り。
ボトルワインは見送った。

飲みものとともに胚芽パンと、
フロマージュ・ブラン(クリームチーズ)が突き出しとして登場。
まずまずのご提供である。

注文した料理は以下3品

 自家製いろいろ野菜と鴨スモークの入った田舎風パテ(600円)
 大分県 軽く〆た天然さば 徳島スダチとハニー正油ソース(1200円)
 飛騨 たっぷりモッツァレッラ入り千両なすとズッキーニのラザニア(950円)

最初のパテはいわゆるパテ・ド・カンパーニュ。
野菜が多く肉の醍醐味に欠ける

続いての〆さばもパッとしない。
これはむしろ添えられた生野菜のほうがいい。 
さばは全て天然だろうに

ラザニアはボリュームじゅうぶんで味もけっこう。
二人で分けるにちょうどよい

北イタリア・ピエモンテのバルベーラ種、
エルバルーナ・ラベットラ(800円)を2杯。
グラスは大きめでワインの質もよし。

概して接客はフレンドリーで好印象。
ただし、料理やワインに精通したスタッフは身受けなかった。
仏人オーナーが目立つ神楽坂のフレンチは
クラシックな料理をウリにする店が主流。
その中にあって真逆的存在といえる。
そのせいか仏人には受け入れ難いようで外人は皆無だった。
とはいえツレはそこそこ満足の様子、まずはヨシとしておこうか。

「ARBOL」
 東京都新宿区神楽坂4-7
 03-6457-5637