2014年2月20日木曜日

第778話 理解不能の唐揚げブーム (その1) にせどろ千夜一夜 Vol.10

ウチのマンションの隣りのビルに
鳥の唐揚げスタンドが出来たのはいつだったろうか。
おそらく2年ちょっと前のハズ。
開業してしばらくはダクトから流れ来る、
油臭い匂いに閉口したものだった。

「とんでもねェモンが出来やがったなァ!」―偽らざる心境だった。
その後ダクトを改良したせいか、さほど気にならなくなったが
風向きによっては今でも
油とにんにくと醤油が入り混じった匂いが風に乗ってやって来る。

ときどき行列ができている。
そんな人気ぶりを見るにつけ、
昨今の唐揚げブームはいったい何なんだ? 
首をひねってしまう。

全部が全部じゃなかろうが
そして間違ってたらゴメンだけれど、
ブラジルあたりの安い冷凍チキンを大量に仕入れ、
秘伝の味付けだなんだと言葉巧みに売りさばいている様子。
どうにも理解に苦しむブームである。

さて、それはさておき、
千円でべろべろに酔わせてくれる店が”せんべろ”ならば、
二千円で泥酔できる店は”にせどろ”。
久方ぶりに
=にせどろシリーズ=いきます。

ところは東京メトロ銀座線・上野広小路と
同じく千代田線・湯島の中間あたり。
道筋に風俗ストリートの上野仲通りがあって
立ちんぼうの日本男子と中国女子が
引かれたくもない袖をさかんに引く。

「オニイさん、オニイさん!」―
かしましい中国勢♀はまだ可愛げがあるが
日本勢♂は揃って強面。
中には昨日まで臭いメシを食ってたんじゃないかと
おぼしきアンちゃんもいたりして、いやはや怖すぎ。
あれじゃ客もビビるだろうに―。
どう考えても逆効果だと思うんだがねェ。
唐揚げブーム同様、まったくの理解不能。
少しは考えたほうがいいんでないかい?

湯島方面から仲通りを行くと途中で右折、
逆に広小路から行けば左折してすぐ、
真夏のビアガーデンみたいに赤い提灯が
いくつも軒先にぶら下がった大衆酒場がある。

その名も「赤提灯」。
大塚駅前の「大提灯」よりもこちらのほうが大箱だ。
以前は湯島天神下の交差点そばにあったが
数年前に移転してきた。
まっ、徒歩で数分の距離ではあるがネ。
実はこの店を最近、見直してしまったのだ。

=つづく=