2015年6月4日木曜日

第1113話 こんなサラダにほれました (その3)

千駄木は三崎坂にある洋食屋「Ryu」。
やはりミートソースの掛かったキッシュはダメだった。
キッシュはもともとフランスでもドイツに近い、
アルザス・ロレーヌ地方の料理。
とりわけロレーヌの名物でキッシュ・ロレーヌと称する。

玉子とほうれん草がふんだんに使われたパイは
さほど美味しいものとも思わぬが
1970年代の都内のシティホテルにおいては
パーティー料理の一品として重宝がられたことは事実だ。

キッシュのあとにいただいたのが前話で紹介したRyuサラダ。
凡庸な粉モノの直後だけに殊に印象深かったのかもしれない。
いや、そんなこともあるまい。
再訪する価値を見いだせるほどに優れた一皿だった。

サラダのお次はマカロニグラタン。
これも独りならまず注文しない料理だ。
何だかこの夜は相方のM鷹サンが仕切りまくり。
自分の好きなものをパッパッパと3皿も選ばれてしまい、
気弱なJ.C.のつけ入るスキなどあったものではない。

もっともこちらは冷たいビールさえあれば
とやかく言うつもりは毛頭ナシ。
たあ~んと頼みなはれ、う~んと食べなはれ、であった。

フードメニューは前話で紹介した。
リカーメニューでは特に赤ワインの良心的な値付けが目立つ。
何せ、トスカーナのキャンティ・レセルヴァ、
ボルドーのシャトー・ジャガール、
甲州・勝沼のルバイヤート、
そのすべてがフルボトルで2300円也。
ワイン好きが安心して赴ける料理店といえる。

ただし、この夜は比較的重めの二次会が控えていた。
ワインはスキップするのが賢明ゆえ、
メインディッシュの選択にいそしむことにする。

ところがここでもM鷹サンの主張衰えることなく、
ハンバーグ&海老フライの盛合せを注文に及ぶではないか―。
いやはや、ほんまにマイッたぞなもし。
ハンバはともかくも大海老が2尾
すべてのディッシュを二人で分け合ってきたが
さすがにこのメインは双方、ややもて余し気味。
でも言い出しっぺの相方には奮闘努力してもらった。

振り返って当店のベストはRyuサラダ。
もしも再訪するとしたら、目当てはこれにつきましょうゾ。

=おしまい=

「Ryu」
 東京都文京区千駄木3-27-17
 03-3824-1288