2015年6月9日火曜日

第1116話 渋谷はやっぱり駄目な街 (その3)

理髪を済ませた帰り道。
渋谷はハチ公のいる広場のすぐ向かい、
ガード下の「にゅう鳥金」のカウンターに独り。

ヘアサロンでは飲みものを辞退したので殊更にビールが旨い!
しあわせの夕べを迎えている。

Evening is the time of day
I find nothing much to say
Don't know what to do
But I come to

When it's early in the morning
Over by the windows day is dawning
When I feel the air I feel that life is very good to me, you know
In the sun there's so much yellow
Something in the early morning meadow
Tells me that today you're on your way
And you'll be coming home, home to me

Night time isn't clear to me
I find nothing near to me
Don't know what to do
But I come to

思い起こせば1960年代。
イギリスのポップスシンガー、
クリフ・リチャードが歌った「しあわせの朝」(Early in the morning
この曲は彼のナンバー中、断トツのマイベストである。
ヴァニティ・フェアなんぞもカヴァーしているが、クリフのほうを好む。
いや、実に名曲でありました。

クリフは「しあわせの朝」だが、J.C.はもっぱら「しあわせの夕」だ。
かたわらに恋人の姿なくとも、ビールがあればそれでよい。
それでじゅうぶん、シ・ア・ワ・セ。
ハハ、単純なもんですな。

ビールのお供の突き出しは青菜のひたし。
化学のチカラが主張する妙な味付けに閉口して一箸でやめる。
どうせ有料だろうが、こんなもん食わされてもなァ。
店主のセンスと造り手の舌を疑ってしまう。

「にゅう鳥金」は焼き鳥屋だが焼きとんもやる。
あまり期待はせずに
とにかく好物の焼きとんからレバとシロをタレでお願いする。
カシラ・タン・ハツなど豚の上半身に属する部位は塩が合うけれど、
ガツ(胃)から始まる、レバ・テッポウの下半身はタレがよい。
これは焼きとんを味わうときの鉄則なのだ。

10分ほど待ったかな?
焼き上がった2本の串が運ばれた。
おや? 皿に珍しいモンが添えられてるじゃないか―。

=つづく=