2015年6月29日月曜日

第1130話 横井サンが死んじゃった (その2)

作詞家・横井弘は1926年10月生まれ。
大正時代の最々末期である。
終戦直後、キングレコードに入社したが
社団法人・日本音楽著作権協会(JASRAC)に移籍したりもしている。
 
作話では彼の手になるマイ・フェイヴァリット「下町の太陽」つながりで
1962年のヒット流行歌を紹介したが
今話では横井サン本人に主役を務めてもらわねばならない。
そう、彼が作詞を手掛けた歌のマイ・ベストテンだ。
 
詩だけに焦点を当てる方法を考えもしたが
やはり流行歌は詩と曲が一体となって人口に膾炙してゆくもの。
詩が膾(なます)なら曲は炙り肉だろう。
よって横井弘のベストテンでありながら
作曲の出来具合が大きく影響していることも確かなのだ。

  ♪  ほこりまみれの 巷の夕陽
   ビルにかくれりゃ 灯が点る
   昨日みた夢に すがって泣いちゃ
   生きては行けない 銀座だよ
   弱音吐いちゃ駄目さ にっこりと
   夜の蝶々は あゝ 飛ぶんだよ  ♪

今、コレを書きとめながら、この曲を聴いている。
若き日の大津美子が歌った「銀座の蝶」の作曲は桜田誠一。
リリースは1958年4月で
あの長嶋茂雄が読売巨人軍に入団した時期と重なっている。
ちなみにこのJ.C.の小学校入学ともネ。

銀座のホステスさんを書いた作品だが
曲調がとってもユニーク。
弦楽はジプシー風にして打楽はアイヌ調。
おまけに小唄チックでもあるのだ。
名曲と迷曲の中間に位置しているネ、これは―。

それでは、アラ・ミュージック!

① 「下町の太陽」(倍賞千恵子)
② 「哀愁列車」(三橋美智也)
③ 「川は流れる」(仲宗根美樹)
④ 「さよならはダンスの後に」(倍賞千恵子)
⑤ 「銀座の蝶」(大津美子)
⑥ 「達者でナ」(三橋美智也)
⑦ 「あざみの歌」(伊藤久男)
⑧ 「心の窓にともし灯を」(ザ・ピーナッツ)
⑨「夕焼け雲」(千昌夫)
⑩「虹色の湖」(中村晃子)
 次点:「ネオン川」(バーブ佐竹)

横井弘がもっとも自分の詩を提供したのは三橋美智也。
三橋のデビュー当時から、あまり注目されなかった晩年まで
その関係は変わることがなかった。

今宵は彼が手がけた作品をあらためて拝聴しながら
自宅での独酌とシャレ込もう。

  ♪  つらいホームに 来は来たが
   未練心に つまづいて
   落とす涙の 哀愁列車  ♪

ってか!