2015年6月5日金曜日

第1114話 渋谷はやっぱり駄目な街 (その1)

2か月に1度のヘアカットに赴いた。
緑のそよ風に吹かれながら
東京メトロ千代田線・明治神宮前(原宿)から歩く。
実に気持ちがよい。

これが途中、一つ手前の表参道で乗り換え、
銀座線、乃至は半蔵門線の渋谷駅で下車すると面倒なことになる。
渋谷駅界隈は若者を中心に芋を洗うがごとくだからネ。
芋を洗うのは夏の湘南海岸と相場が決まっている。
おっと、港区・六本木にも芋洗坂ってのがあったか―。

理髪に要する時間は1時間足らず。
夕暮れの街に出た。
一日でもっとも楽しいひととき、そう、心ウキウキの晩酌タイムである。

渋谷区役所の真ん前に位置するヘアサロンから
さっき来た道を逆行してはいけない。
国立代々木競技場があるだけで
身を落ち着ける止まり木なんぞ、なあ~んもないからネ。

よしんば原宿に達したとしても
ジェネレーション・ギャップの餌食(えじき)になるだけだ。
ん? 竹下通り?
オッサンがそんな場所に足を踏み入れてごらんなさい、
自殺行為もいいとこだってのっ!

チョイスは二つある。
まず、NHK放送センターを右手に見ながら
まだ大通りにならない細めの井の頭通りに入り、
小田急線・代々木八幡駅に向かう道筋に
手軽な飲み処がズラリと並んでいる。
もう一つは渋谷駅周辺にあまたある繁華街のいずれかに
一夜の身を委ねればそれで一件は片づく。

当夜は第二のチョイスにしてしまった。
センター通りの坂を上がって来る若者たちの群れとすれ違いながら
早くもイライラがつのる。
だってなかなか前に進めないんだからネ。
よって毎度のことながらほとんど車道を歩くことになるのだ。

歩行者天国の真逆、歩行者地獄を代表するのが渋谷。
それに続くのが下北沢と自由が丘。
この3タウンではもっぱら車道を闊歩することにしている。
近頃はマイ・テリトリーの上野・御徒町も怪しくなってきた。

エッ? お巡りに注意されないかって?
そんなこたあ気にしやしませんネ。
元はと言えば、こんな道路を作った役所が悪いんだ、
その役所の飼い犬にとやかく言われる筋合いはござんせん。

=つづく=