2015年6月26日金曜日

第1129話 横井サンが死んじゃった (その1)

 ♪ 下町の空に かがやく太陽は
  よろこびと 悲しみ写す ガラス窓
  心のいたむ その朝は
  足音しみる 橋の上
  ああ太陽に 呼びかける   ♪
       (作詞:横井弘)

横井サンが死んじゃった。
グアム島から生還した横井サンじゃないヨ、
大好きな作死者、もとい、作詞者の横井サンだヨ。

冒頭に掲げた「下町の太陽」は
小学校五年生のとき、リアルタイムで聴いていた。
倍賞千恵子のトランスペアレントな歌声が東京のみならず、
日本全国に響き渡ったハズだ。
横井弘の作詞もさることながら
江口浩二の曲がまたすばらしい。

その年は1962年。
J.C.は下町もド下町、深川に暮らしていたのでありました。
この1962年、昭和なら37年は歌謡曲の当たり年。
ズラリ並べるというより、
その年のマイ・ベストテンをご披露しようじゃないか。

① 下町の太陽 (倍賞千恵子)
② 赤いハンカチ (石原裕次郎)
③ 遠くへ行きたい (ジェリー藤尾)
④ 川は流れる (仲宗根美樹)
⑤ コーヒー・ルンバ (西田佐知子)
⑥ 湖愁 (松島アキラ)
⑦ 寒い朝 (吉永小百合とマヒナスターズ)
⑧ 江梨子 (橋幸夫)
⑨ 若いふたり (北原謙二)
⑩ 星屑の町 (三橋美智也)
 次点:なみだ船 (北島三郎)

自他ともに認める寅さんファンのJ.C.ながら
女優であり歌手である倍賞千恵子に関しては
たとえば寅次郎の妹・さくらよりも
歌手としての実力を高く評価している。

彼女のナンバーでは「下町の太陽」の3年後、
「さよならはダンスのあとに」もスマッシュヒットを記録した。
これがまた無類の名曲なんですヨ。
驚いくべきは「下町の~」、「さよならは~」、
ともに作詞は横井弘なのだ。

作曲家に比して作詞家は過小評価されてきた感がある。
その証拠に国民栄誉賞をもらった作曲家が何人もいるのに対して
作詞家は誰一人としていない。
どうやらこの国においては国語は音楽より劣るのであるらしい。

=つづく=