2015年6月25日木曜日

第1128話 「のんき」は呑気に非ず (その2)

ここ数年、城北における一大呑ん兵衛タウンとして
活気を増している赤羽にやって来た。
「のんき  堀切」の看板にひかれ、
うなぎの「川栄」を見送っての入店である。

接客のアンちゃん曰く、こちらが本店とのこと。
よく言うヨ、と思ったものの、
はは~ん、この実態にはカラクリがありそうだ。

よって問い質してみた。
「要するにロイヤリティを買い取ったんだネ?」―
そうとしか思えなかったもの。
「まあ、そうです」―
素直な応えが返ってくる。

ふ~む、なんだかイヤな渡世になったものよのぉ。
買い取ったというからには
そこには当然、互いのメリット、
いや、プロフィットに基づく金銭のやりとりが生じたハズ。
ちょいと苦々しい思いが脳裏をよぎる。
どっちの「のんき」も呑気どころか、金儲けにはしったわけだ。
「のんき」は呑気じゃなかったんだ。

この件に固執すると酒が不味くなるから努めて一件を忘れ、
とにかく生ビールで乾杯に及ぶ。
銘柄を確かめずに注文した結果はサントリー・モルツ。
やっちまっただヨ。
イヤな予感がしていたんだヨ。

とまれ、つまみはもちろん焼きとん。
カシラ・タンすじ・ハツもとを塩で所望した。
味わってみれば、
なるほど堀切菖蒲園のソレに近いレベルに達してはいる。
達してはいるが、どうも気分が乗ってこない。

続いてレバとシロをタレで―。
こちらもまったく悪くはない。
悪くはないけれど、やはり「のんき」の焼きとんは
けだるい空気に満ちた本家で
時の過ぎゆくままに食べたほうがしっくリくる。
 
ただ、元部下たちが頼んだ、アレは何というんだろう?
目にしたことがないから本家にはないものだと思う。
豚の肉、おそらくカシラかな?
もやし・ニンニクと一緒に炒めた一皿が旨い。
殊にほとんど生のニンニクは実に効果的だ。
 
先に帰った介護士・A澤を見送り、
来月には保険屋となるT村との2軒目はOK横丁の「若大将」。
加山雄三のイメージとかけ離れているものの、
相棒はたこ刺し、J.C.は焼きピーマンで飲み直す。
すぐにラストオーダーの時間を迎え、
店の批評は控えざるを得ない。
 
思いはただ、ただ、彼の空く末に
”成功”の二文字が待ち受けていることを祈るばかりなり。
 
「のんき 堀切 赤羽店」
 東京都北区赤羽1-19-16
 03-6840-8910
 
「若大将」
 東京都北区赤羽1-16-5
 03-3901-0917