2015年8月11日火曜日

第1161話 池波翁の「銀座日記」 (その8)

(来年の賀状)

今朝は早目に起きて仕度をし、青山斎場へ。
講談社・野間社長の葬儀へおもむく。
焼香をすませ、出てくると雨もやみ、
参列者が長蛇の列をつくっている。
帰宅し、二組の来客の相手をすませると、
もう夕刻になっていた。
鶏のスープ鍋をし、終った後のスープへ
塩とコショウを振り込み、飯へかけて食べる。
ベッドへ入ったが、さまざまなおもいが去来し、なかなか寝つけない。
ついに午前二時、起きて少量の睡眠薬をのむ。

鶏のスープ鍋はJ.C.も大好き。
鍋の締めに雑炊を好む向きが多いが、雑炊は嫌いだ。
ごはんを煮る代わりに
冷やめしでもいいから熱いスープをかけ、
お茶漬けみたいにサラサラやるほうがよほど旨い。

悩み事が多いと睡眠不足になるのだろう。
翁もたびたび睡眠薬を処方している。
自慢じゃないが、J.C.は生まれてこのかた、
睡眠薬のお世話になったことはただの一度もない。

これはたぶんに麻雀その他で徹夜慣れしているからだろう。
慣れているから徹夜がちっとも怖くない。
眠れなければ、朝まで起きてれば、それで済むことだ。
眠れないのに眠ろうとするから余計に眠れないので
ここは発想の転換、
朝まで起きていようと思うと、途端に眠くなるハズ。
嘘だと思ったらぜひ試してご覧なさい。

なおも(来年の賀状)の稿。

鶴田浩二、石原裕次郎、このところ、俳優の死亡が多い。
きょうは有島一郎の死が報じられる。
今夏は梅雨前から気候が悪く、
私も家族も飼猫までも体調を崩してsひまったほどだから
病人にはさぞよくなかっただろう。
午後、印刷屋から、
「来年の年賀状は、まだですか?」
と、電話がかかってくる。
なるほど、今年は年賀状の注文が大分に遅れていたことに気づき、
すぐに画稿えお描く。
いったん、梅雨が明けたというが、それが取り消しになったので
きょうも雨で蒸し暑く、さっぱり仕事がすすまない。

好きな二人の俳優が前後して亡くなったのは1987年。
ニューヨークに赴任した年だった。

=つづく=