2015年10月14日水曜日

第1207話 王子で味わう ツブとブツ (その4)

ドンチャン騒ぎとまではいかないまでも、
グループ客が発する騒音はかなり耳ざわり。
それでも気を取り直して酒盃をか交わす。
清酒・白鷹は好きな銘柄である。

薄いのが4切れのかんぱち刺しは良質。
食べ応えはないが420円の良心的値付けは
”個食”に対応する方策の表れであろう。
これなら単身でも何品か重ねて注文できる。

実はJ.C.、刺身の盛合せというスタイルを好まない。
刺盛りとなれば、まぐろは必ず参加していようが
あとはすべて店任せ、
何が盛られてくるのか知れたものではない。
そこがイヤなのだ。
好きなものを好きなだけ、このことによって
酒と肴の連動性が生まれ、晩酌の楽しみが倍加してゆく。

かんぱちのもの足りなさを補うためにまぐろブツを追加。
以前に書いたが割烹でまぐろ刺しでも
居酒屋はまぐろブツが似つかわしい。
しかもいろんな部位が混じり合うから
食味のヴァリエーションを味わうことができる。

到着したブツにわれら二人、目を瞠った。
どう見てもブツではない
こりゃブツではなく中落ちだ。
ブツというのは読んで字のごとくブツ切りのこと。
間違っても中落ち、いわゆる掻き身ではないハズ。

一箸つけて互いに落胆。
もともと中落ちは好きじゃない。
いや、嫌いと言ったほうが当たっている。
デパ地下でにぎり鮨のパックを買うときも
中落ちを避けるようにしているくらいだ。

ん、北区・王子まで遠征してツブとブツかァ。
ツブはともかくブツにはハズされたぜ。
白鷹の生吟醸を飲み干し、八重壽の燗に移行する。

生モノはもうじゅうぶん。
当店一番人気のハムカツと、ついでにイカフライを所望した。
どちらもデジカメにおさめたののの、
見映えがしないのでアップは控える。

ほとんどパン粉のハムカツが捨てたものではない。
ハムよりコロモが主役を張っている。
人気の理由を納得しながら、楽しい飲み会がお開きとなった。

=おしまい=

「山田屋」
 東京都北区王子1-19-6
 03-3911-2652