2015年10月30日金曜日

第1219話 YOKOHAMA is Beautiful ! (その3)

  ♪  あなたのほかに 恋人は
   この世のはてまで あるものか
   小さな肩の ほくろさえ 
   唇ふれた 僕のもの
   せつない恋に 酔いしれた
   帰らぬ 月日よ
   星さえ消えて 星さえ消えて
   空には 雨がふる    ♪
      (作詞:岩谷時子)

1967年にリリースされた、
弾厚作(加山雄三)作曲「別れたあの人」の3番だ。
「ビューティフル・ヨコハマ」が大学一年なら
「別れたあの人」は高校一年のときだった。

この2年前「エレキの若大将」の主題歌として
大ヒットした「君といつまでも」と比べると、
注目度が低く、日陰に咲いたプチヒットてな感じ。
同年発表「二人だけの海」より売れなかったんじゃないかな。

さて、横浜は日本大通りに面した、
「別れたあの人」(アルテ・リーベ)にやって来た。
平日のランチタイムなら問題なかろうと予約はしなかった。
案の定、ゆったりとして気品に満ちた空間には
3組ほどの客たちが散在するのみである。

有閑マダムの大、いや、中グループ、
ママとも風の小グループ、
そして夫婦だろうか、初老のカップルだ。

ここはオーストリア料理店である。
横浜での食事を決めた際、相方から
「ちょっと素敵なお店をお願いネ」―かようなリクエスト。
大桟橋の入口にむか~しからある、
「スカンディア」と迷った末、こちらに白羽の矢を立てたのだ。
ちなみにあちらは北欧料理店である。

思いおこせば横浜大桟橋からソ連の客船、
ハバロフスク号に乗ってシベリアに渡り、
その後、ヨーロッパを周遊、というより放浪したのだった。
旅は北欧に始まり、最後に行き着いたのがオーストリア。
その二つの地域と国のレストランで迷ったのは
まっ、単なる偶然の産物ですけどネ。

オーストリア料理を初めて口にしたのは
そのときたどり着いた音楽の都・ウイーン。
ガイドブックを通して知り得た当地の料理は
ウインナー・シュニッツレル(仔牛のカツレツ)と
タッフェル・シュピッツ(牛肉の白ワイン煮)の二つだ。
なけなしのサイフをはたいて食したが
前者はまずまず、後者がイマイチだったかなァ。

当時の渡航者はそれぞれたった、
400ドル(14万4千円)しか国外に持ち出せず、
外貨は命の次に大切なものでした。
まさに隔世の感あり。

=つづく=