2015年10月19日月曜日

第1210話 京成沿線を歩き続けて (その2)

カトリーヌ・スパークに対するカトリーヌ・ドヌーヴ。
ドヌーヴが映画ファンを魅了したのは
何といっても「シェルブールの雨傘」(1964年)だろう。
オペラのレチタティーヴォを取り入れた唱法に
開演直後はずいぶんとまどったが
ストーリーが進むうち、不思議なんだよねェ、
ほどなく違和感が払拭される。

ドヌーヴと比較してスパークの女優人生はまったく不幸。
B.Bのバルドーとタイマンを張ったC.Cこと、
カルディナーレにも似た魅惑的な瞳の持ち主なのに
だんだんスクリーンから遠ざかっていったのだった。

本題に戻る。
本郷図書館を出たあと、太陽の下を歩き始める。
団子坂を下り、よみせ通りを進み、
やなか銀座から夕焼けだんだんを上る。

日暮里のとある居酒屋で昼定食のかきフライを食べたが
あまりにヒドく、少々心に痛手を負った。
よって店名はパス。

やっちまったヨ、ホゾをかみつつ、
歩きついたのは京成線の新三河島。
コリアンタウンのJR三河島エリアは
焼肉屋などが軒を連ねてそれなりの繁華を誇るものの、
新三河島にはなんにもない。
こばと商店街なんてのが一応、あるにはあるけれど、
すでにさびれはてて興をそそられるものなど皆無であった。

ただ一つ気になったのは「エフ」という名の喫茶店。
店頭のメニューをチェックするふりをして店内を盗み見ると、
初老の夫婦が二人きりで切り盛りしている。

何となくいい感じ・・・こんな経営者たちなら
さぞかし真っ当なモノが出てくるのではないか、
そんな予感がした。
予感はしてもすでに昼食を終えているから
そのうちあらためて訪れよう・・・そう思ったことだった。

でもって歩き始めただヨ、京成沿線を隣りの町屋方面に向かってヨ。
ただ、町屋のあとが遠い。
尾竹橋で隅田川を渡り、千住桜木から元町、ようやく北千住に至る。
厳密にいうと、このルートは京成沿線ではない。
しかしながら、鉄道と徒歩では川を渡る際の橋が全然違う。
ここがアルキストのツラいところなのだ。

地図上ではずいぶん遠回りをして京成牛田を過ぎ、
堀切橋を越えて到着したのが堀切菖蒲園。
季節はずれの菖蒲園に用はない。
なおも前身あるのみだった。

=つづく=