2018年5月17日木曜日

第1873話 鷺沼に舞い降りた (その1)

2ヶ月に1度の理髪を済ませて渋谷駅。
この日のターゲットは川崎市・宮前区の鷺沼だ。
田園都市計画によって造成された新興住宅地である。
知らない場所を歩くのは大好き。
よってこの町に鷺のように舞い降りた。
いえ、実際は田園都市線の急行電車に乗ってネ。

中休みを終えた飲食店が夜の営業を始めるのは17時ごろ。
鷺沼駅に下車したのは16時だった。
1時間もあれば駅周辺は網羅できるハズ。
意気揚々と歩き始めた。

いや、ずいぶん坂の多いところだこと。
普段、埋め立て地中心の平坦な下町を基盤としているため、
余計にその印象が深い。
北へ行っても南に下っても坂道ばかりである。

これといった訪問先を決めてきたわけじゃないから
ちょいと歩いちゃ、店の前で立ち止まり、
店構えや品書きを値踏みしてゆく。
1軒目として目星をつけたのは焼き鳥の「近藤屋」。
ハス向かいにやはり焼き鳥主軸の大型店があったが
こういうものは小さいほうを択んだほうが間違いは少ない。

町を走破してもなお15分ほどの時間が余った。
駅前のスーパー・フレルの生鮮コーナーを物色することにした。
鮮魚・精肉・青果を見れば、その町の生活水準は一目瞭然。
鷺沼のレベルはそれなりに高かった。

17時10分、「近藤屋」に入店すると、先客がテーブル席に2組。
がら空きのカウンターに落ち着く。
生ビールの380円は安いがジョッキは小さめだ。
卓上に備え付けの壺みそを小皿にとってしばしのアテとする。
突き出し(300円)に山芋くし切りとなめこの三杯酢が供された。
ニセわさが添えられている。

焼き鳥は稀少部位からソリとオビを塩でお願い。
ソリはももの付け根でプリプリの食感。
ももの内側のオビはソリよりも柔らかい。
上質な素材に備長炭による焼き入れが丁寧。
文字通り、塩の塩梅もよろしく、期待以上である。

続いてレバをたれで―。
うむ、これも巧みな火の通しだ。
串はどれも130~200円と良心的価格。
近年、高級焼き鳥店が
大手を振って歩く東京から来ると、殊更にそう感じる。
そしてすべてが旨い。
かなりイケてますな、この店は―。

=つづく=