2018年5月25日金曜日

第1879話 江戸錦絵のお出迎え (その2)

北区・王子の「無識庵 越後屋」。
18時を回り、客入りも順調。
孤食は見掛けず、家族連れや仲間同士が目立つ。
地元の方々ばかりでわれわれのような遠征組はいない。

つまみ類はいずれもソツなく、かつ美味。
小さなポーションもありがたく、
箸の上げ下げによどみが出ない。
味覚の変化を舌が素直に歓んでいる。
酒と肴のシナジー効果というヤツだネ、これは―。

品書きをながめて気になった京にしん。
質の良し悪しをジャッジしてみたいまぐろ刺し。
以上2品を追加する。
飲む際にさほどつままぬ身には異例のことだ。

京にしんの煮上がりに瞠目した。
京の都の旦那衆も真っ青必至の出来映えである。
身は厚く大きくともペロリンコと平らげた。
あらためて当店の力量を確認した次第。

逆にまぐろには感心しなかった。
赤身4~5切れに対し、
大とろに近い中とろは1切れのみ。
見るからにアンバランスにして食味ももの足りない。
生モノからは撤退したほうがよさそうだ。

そろそろ締めにかかろう。
初訪のそば屋でそばを食べなきゃ悔いが残る。
しかしながらここに到って食欲の低下が生じた。
立派すぎるにしんのボディーブローが効いてきた。

相方と協議の結果、一人前のシェアを決断。
当方の嗜好を優先させてもらい、
好物の変わりそばに決定する。
ところが月替わりの変わりそばの5月は茶切り。
う~ん、茶切りかァ・・・。
これだけはあんまり好まないんだよねェ。

ちなみに4月は桜切りに海老切り。
季節からして海老切りは桜海老に相違なかろう。
食べたかったなァ。
そして翌月の6月はくるみ切りだった。
これもまた興味津々なり。
月のめぐりの悪さを恨みつつ、
変わりをあきらめてシンプルなせいろを注文した。

そばは1枚のせいろに小さな山が4つ。
いわゆる小ちょぼに盛られて登場した。
新潟のへぎそば以外でこのスタイルは珍しい。
分けて食べやすいし、そば猪口を2つ用意してくれ、
心配りに感謝の巻である。

知っていながら長期に渡った未訪を今さらながらに悔やむ。
ったく、こんな気持ちにさせやがって
これ 越後屋、そちもなかなかのワルよのぉ。

「無識庵 越後屋」
 東京都北区王子本町1-21-4
 03-3900-5904