2019年4月5日金曜日

第2104話 花はみな 散りゆきて (その2)

谷根千ウォーカー・J.C.が見つけた、
一株のローズマリーが一輪の花をつけた。
生まれて初めて見るローズマリーの花びらである。
数日前には増えていて4~5輪ほどが咲いており、
こちらは一向に散る気配がない。

嬉しくなってその日の夜は
精肉店で銘柄豚・東京Xの厚切りロースを購入し、
ポーク・チョップを焼いて食べた。
ローズマリーとガーリックをたっぷりと効かしてネ。

昨日、上野のお山を下り、
不忍池のほとりを歩いた。
気の早い桜の花びらはすでに散り初(そ)めている。
今年の東京の桜もあと数日の命だろう。

ベンチに腰を下ろし、水面(みなも)を見つめていたとき、
突如、タンゴのメロディーとともに
歌の文句が頭に渦巻き始めた。
花よりダンゴではなく、花よりタンゴであった。

どんな曲なんだ? ってか?
やっぱり聞きたいでしょ?
大阪の小姑に叱られるのを覚悟で
それじゃ3番だけネ。

♪   冬子は冬子は ひとりで生きてる
  ときどきそっと 微笑むけれど
  何んの花やら すぐに散りゆく
  あ~あ あ~あ 冬子よ
  冬子よ雪なら とけよわが手に  ♪
        (作詞:佐伯孝夫)

「冬子という女」は先週紹介した「東京午前三時」と同じ、
フランク永井の歌唱に佐伯孝夫の作詞、
そして吉田正の作曲で、リリースは1964年。
美しいメロディーに、何と言っても歌詞がすばらしい。
殊に赤字部分が非凡だ。
佐伯はさすが西條八十に師事しただけのことはある。

ネットの動画でフランクの歌声に接したとき、
映像の女優、結城しのぶに惹かれた。
おかげで彼女の顔と名前が一致もした。
結城は1953年、千葉県・松戸市出身。
J.C.も松戸に7年ほど棲んだことがあり、
ささやかな縁を感じる。

長いブランクのあと、
今世紀に入り、芸能活動を再開したという。
散り果てることはなかったのだ。
昔の姿だが三白眼っぽい瞳が魅惑的。
主役級の女優ではなかったけれど、
遅ればせながら、ファンになってしまいましたとサ。