2019年9月4日水曜日

第2212話 その日の午後は麺ばかり (その3)

17時ちょい過ぎに「AZAMI」入店。
独りでホールを仕切る女性に促されてカウンターの左端へ。
さっそくまだ飲み足りないビールを所望すると、
「おビールはディナータイムの18時からなんですヨ」-
ガッビ~ン!
さあてどうする、J.C.?

あと1時間近く待たねばビールはおろか、
当店自慢の料理にもありつけない窮地に陥った。
注文可能なのはコーヒー・紅茶とソフトドリンク、
スイーツにパスタということだ。
思案すること1分、イラ立つ気持ちに折り合いをつけ、
スパゲッティ・ミートソースとアイス・レモンティーで妥協した。
待つあいだ、夜のメニューをながめると、

薩摩ポークバラ軟骨のボルドレーズ(1380円)

霧島鶏のインパナート9種の茸のフリカッセ
=当店自慢のスペシャリテです=(1880円) 

いやはや、惹かれるものが並んでいる。
ボルドレーズはいわゆるブラザート(赤ワイン煮込み)。
ボルドーワインをたっぷり使っているのだろう。
インパナートは香草パン粉焼きだ。
これはそんじょそこらの喫茶&洋食とは次元が違う。

素材にもこだわって、米は新潟県・山古志村の産
魚は島根・山口・九州の漁港から直送。
あさりが浜名湖、いか・ほたては奥尻島、海老が鹿児島で
ムール貝はニュージーランドか地中海ときたもんだ。
しかもすべての食材がガイガーカウンターで検査住み。
高級フレンチやイタリアンだって、こんなことしてないゾ。
 
名代のナポリタンAZAMIスタイルはナポリタンにあらず。
トマトソースにケチャップを使わぬアマトリチャーナだ。
パスタはすべてアルデンテ仕上げではない当店独自の仕様。
使うチーズはパルミジャーノ・レッジャーノ、エーダム、
ペコリーノ・ロマーノの3種類とのこと。

ミートソースは自家製ミンチたっぷりのボロネーゼ。
スパゲッティと玉ねぎを炒めた上にソースが掛け回され、
パルミジャーノとペコリーノがあしらわれていた。
 喫茶店とトラットリアの中間といった態で実に美味い。

うなぎの寝床みたいな店内は居心地がよいわけではない。
女性たちで埋まったテーブルから
抑制されない会話の声音が容赦なく襲ってくる。
人気の理由はスイーツに秀でているためであろう。
 
この日はまったくの不完全燃焼。
塩ラーメンとミートソース、麺類ばかりを食べている。
しかも合いの手はお冷やとアイス・レモンティーだ。
間の抜けた脳みそから舌と胃袋にお詫びの言葉。
「ご麺ね、ご麺ね~!」

=おしまい=

「AZAMI」
 東京都中野区3-33-9
 03-3381-4763