2019年9月6日金曜日

第2214話 面影残すハヤシライス

去年の師走に港区・麻布十番の「bistro あわ」で
一飲に及んだとき、
隣りのレトロな喫茶店が記憶の隅に刻まれた。
「おもかげ」という店名にも好感を抱いた。

旧知のN塚サンから喫茶店特集のBRUTUSをいただき、
以前よりずっと、この業態を意識するようになった。
したがってここは行くっきゃないでしょ。
いつ行くか? 今でしょ。
オメエも古いなってか? はい、スンマソン。

不動前のヘアサロン「W」に赴く前のランチ。
渡りに舟というか、行き掛けの駄賃というべきか、
途中下車した麻布十番だった。
遠めの出口を出たのは、キミちゃんの銅像に立ち寄るため。
童謡「赤い靴」のモデルとなった薄幸のキミちゃんだ。

「おもかげ」は昭和55年の開店。
J.C.が金融界に足を踏み入れた年である。
ロンドンに本社を置く英国企業につき、
英人スタッフの縄張りである六本木でよく飲んだけど、
隣り町の麻布十番へはめったに流れなかった。
今でこそ、この町に地下鉄が2本通っているが
当時の十番は陸の孤島だったもんネ。

「おもかげ」に入店した際の印象はあまりよくなかった。
常連と思われる客のテーブルに
マスター&ママが同席しておしゃべり三昧。
店内の空気がダレている感じがした。

サッポロ黒ラベルの中瓶(600円)を飲みながら
ミートソースでもと思ったものの、
中野の「AZAMI」で食べたばかりだし、
逡巡してたらパスタはナポリタンのみとのこと。

日頃、見向きもしないハヤシライス(1100円)にした。
おそらく既製品だろう、ルウは甘味が最初にきて
あとから酸味が追いかけてくるタイプ。
まあ、懐かしの味といえなくもない。

たっぷりの牛スネ肉に炊き上がり上々のライス。
福神漬けはなぜか奈良漬け色をしていた。
なるほど、カレーならともかく、
ハヤシに真っ赤な福神漬けは似合わない。

ママはいにしえの美人。
女優の秋野暢子に似ている。
TV朝日が近いせいか、
業界人と思しき客が入れ替わり立ち替わり。
定めた狙いはハズレに近くとも
十番の地に往時の面影残す「おもかげ」ではありました

「おもかげ」
 東京都港区麻布十番2-2-8
 03-3453-1668