2019年9月2日月曜日

第2210話 その日の午後は麺ばかり (その1)

しばらく会っていないが、かつての飲み仲間、
N塚サンから1冊の雑誌が郵送されてきた。
手に取るとBRUTUS の特別編集版で
「喫茶店好き。」なるタイトルだ。

何でも2ヶ月ほど前の当ブログで
「J.C.に喫茶店は合わないや」-
この一文に接し、
そう捨てたモンでもないわヨ。
これでもご覧になって通われたらいかが?
という意味合いらしい。
ここは素直にありがたく頂戴いたしましょう。

都内だけでもかなりの喫茶店が紹介されているが
指を折ってみたら、J.C.も相当数訪れていた。
コーヒーはめったに飲まないくせに―。
それというのも世界のビールを揃えていたり、
名物カレーを提供したりする店があるからだ。
雑誌社に依頼され、ナポリタン特集の取材で
何軒も回ったこともあった。

その朝、ミルクティーを飲みながら新聞を読み終え、
今日は何処に出没しようかと思案する。
しばらく遠征していない杉並・中野両区に的を絞った。
立案した計画は、阿佐ヶ谷のラーメン店でランチ、
中野の喫茶&レストランでディナーというものだった。

雑用に時間を割かれ、
東京メトロ丸の内線・南阿佐ヶ谷駅に着いたのは14時半。
今年1月オープンの新店、
「らぁ麺 いしばし」は通し営業だから問題ないが
出遅れによる時間のずれ込みはのちのち響いてくる。

カウンターのみの店内はアイドルタイムなのに八分以上の入り。
すんなり座れて、塩らぁ麺(790円)をお願いする。
ハートランドの生があったがグッと堪えた。
10分で整ったどんぶりを飾るのは
鶏肉チャーシュー2枚、シナチク2本、水菜、とり節。

山梨産信玄鳥使用のチャーシューは
旨みが強いもも肉とデリケートな胸肉が1枚づつ。
太いシナチクは線路の枕木さながら、歯応えがあり味もよい。
入れすぎるとジャマになる水菜は適量。
とり節は鰹節の鶏肉版で薄く削られていたが
これは無くてもいいんじゃないかな。

鶏だしがよく出て澄んだスープはあっさりながら奥行きあり。
赤穂、ゲランド(フランス)、天外天(内モンゴル)、
3種の塩が使われている。
中細麺はほぼ真っ直ぐ、かなりコシが強い。
春よ恋、きたほなみ、2種の小麦のブレンドは
表皮と胚芽を残した全粒粉だ。

男性2人、女性1人のスリーオペで回すが
瞬間、満席となって立ち待ち客が出る繁盛ぶり。
あとを考えて味玉やワンタンを控えたものの、満足度は大きい。
ラーメン系では今現在、今年一番の当たり店なり。

=つづく=

「らぁ麺 いしばし」
 東京都杉並区阿佐ヶ谷南1-32-8
 03-6383-2885