2019年12月9日月曜日

第2280話 散髪すんで日が暮れて (その2)

やっとのことで魔の竹下通りを抜け、
明治通りに出たら、そのまま横断して
1本東側のうらぶれた商店街に入った。

街灯のパネルには原宿通りとあったが
ここはとんちゃん通りだったハズ。
今は昔、「とんちゃん」なる居酒屋があり、
いつの頃からか、そう呼ばれ始めたと聞いた。

とにかくビールが欲しい。
喫茶店に目覚めたといっても
コーヒーを飲むのはあくまでも世を忍ぶ仮の姿。
夜の帳(とばり)が下りたら
本性を隠す理由などどこにあろう。
Dr.ジキルが Mr.ハイドに転じた瞬間である。

あらかじめ予定していた「昭和軒」へ。
厨房に相対する奥のカウンターに進み、
その右端に落ち着くと、目の前のポスターが目に入った

=日頃の感謝をこめてビールフェア=
 乾杯セット600
 生ビール〈中ジョッキ〉若鶏から揚げ〈小3つ〉
 自慢の一杯 キリン一番搾り
 2杯目以降 通常450円を400

日頃は来てないけど、恩恵を受けることにする。
から揚げは甘い下味が気になりつつも
揚げ立ての熱々だからビールの友として悪くない。
立て続けに2杯目を—。

ちゃんぽん、皿うどんが名物の当店。
つまみ&食事の二役を柔軟にこなしてくれる、
皿うどんをいきたいところなれど、
昼のエラベル3品がこなれていなかった。

お茶を濁すカタチとなった餃子は5カン付け400円。
ハハ、竹下のタピオカドリンクより安いヨ。
しかし、厚めの皮は好みじゃないし、
油と焦げの汚れも気になる。
これじゃ名物も推して知るべし。

メニューが限定的で殊につまみが貧弱。
麺類こそまずまずの品揃えながら
定食が野菜炒め、回鍋肉、麻婆茄子、鶏唐揚げで
飯類は炒飯、中華丼、麻婆豆腐丼の3種のみだ。

土地柄からか、11時半-19時半の通し営業がユニーク。
いずれも70代と思しき男女3人のオペだから
体力を考慮しての営業時間なのだろう。

一人のオッチャン・スタッフがカウンターの左端で
半ラーメンのまかないを食べ始めた。
少ないけど、歳をとったらこの程度でいいんだねェ。
そろそろ閉店につき、紹興酒を断念して切り上げた。

「昭和軒」
 東京都渋谷区神宮前3-22-12
 03-3401-6732