2019年12月19日木曜日

第2288話 サバ缶は苦手なれど (その2)

練馬区・椎名町は「松野寿司」のつけ台に独り。
ん? さばの水煮とな。
さばの水煮ってことは、そのまんまサバ缶やないか!
まさか江戸前鮨の雄が缶詰を出すハズがない。
いや、待てヨ、パリの三ツ星だって
キャヴィアは瓶か缶だろう。
今どきは金華さばとか何とか、
高級品も出回ってることだし・・・。

懸念はすぐに払拭された。
もちろん自家製だった。
しかし、水煮ってのは缶詰以外でまず聞かないな。
実際は塩ゆでというか、いわゆる塩煮なんだがネ
そしてこれがとってもよいデキ。
ホンのチョッピリでは、お替わりしたくなる。

続いて、たこ桜煮&かつお刺しの一皿。
ホックリ炊き上げられたオクトパスは
歯を押し返す力すら失ってあくまでも柔らかい。
そのくせ滋味はたっぷりだ。
かつおは切り付けただけだが、これまた上物。
練り辛子が添えられる。

たら白子とあん肝はポン酢ブラザース。
J.C.的には白子のみでOK。
ともにソフトな仕上がりは低温調理の賜物だろう。

サッとあぶったさよりを経て、にぎりに移行する。
白身と光りモノの取り揃えを確認し、
真鯛と平目昆布〆で口火を切った。
真鯛は皮目を残しす松皮造り。
平目は昆布〆には珍しい厚めの切り付けだ。
 清酒は、宮城・石巻の日高見と
青森・弘前の豊盃、以上の二者択一。
みちのく限定に店主の隠された意図がにじむ
冷たい日高見を2合徳利でお願いした。

お次は、芝海老のおぼろをチョンと乗せた小肌。
そして真あじ。
どちらも水準を超えたものの、特筆するほどでない。
シットリおぼろはもっとホロホロのほうが好み。
日高見は失敗だったかもしれない。
辛口に過ぎ、口内で〆酢と喧嘩し始める。

残り2席の客が来店し、店内がにわかにザワつく
穴子のカミ(上半身)を煮つめで
玉子にはおぼろをカマせて、この2カンを締めとした。
じっくり食べ込んではいないが
印象深いのはさば水煮と玉子だった。

つまみ6点、にぎり6カンで会計は6600円。
6の6で6600円とは出来すぎだろう。
店主の作為か、あるいはつまみもにぎりも1点500円で
500×12=6000 プラス10%タックスなのかな?
食べそびれた車海老・まぐろ・貝類は
次回のお楽しみとしておきましょう。

「松野寿司」
 東京都豊島区南長崎2-16-12
 03-3951-3588