2019年12月12日木曜日

第2283話 落胆のチャーハン (その1)

「大精軒」のお次は「大弘軒」の番である。
麻婆豆腐のあとはチャーハンの出番である。

読者は覚えておられようか?
およそ4ヶ月前、板橋区・大山は「丸鶴」の
チャーシューゴロゴロ・チャーハンに閉口した数日後、
台東区・根岸で近年まれにみる、
チャーハンに出会い、絶賛したことを—。
そして、ちと大げさながらこの店を
徹底的に食べまくる決意を表明したことを—。

しかし、とかくこの世はままならぬ。
夢破れて山河あり、障子破れてサンがあり。
まさか、こんな展開が待っていようとは—。
とまれ、先をお読みくだされ。

あの日以降、いやあ、通った、通った、
リピーターでもないJ.C.が4ヶ月間に
JR鶯谷駅前の「大弘軒」を訪れること実に十数回。
自宅から近いから成し得たが
遠かったらハナから不可能だった。

パステルカラーも麗しいチャーハンに
全英女子オープンの渋野日向子が着ていたポロを連想し、
よりカラフルな五目そばを味わうため、
数日後には再びカウンターに着いていた。

厨房の様子をうかがっていると、
二番手が用意した麺入りのどんぶりに
店主らしきオジさんがタンメンより
野菜少なめのスープをざんぶりこ。
すかさず二番手がトッピングを施す。
お運びはどちらかのカミさんだろう、女性が一人。

期待通りにどんぶりはシブコのポロシャツそのもの。
具材はチャーシュー、伊達巻、半茹で玉子、蒲鉾、ナルト。
スープに化調を感じるものの、あっさりとしている。
中太ちぢれ麺は粉々感強く、歯を押し返す。
チャーハンほどでなくとも五目そばは好きな一品だ。

夜に出向き、餃子、チャーシュー、
そしてたった50円のザーサイでビールや酎ハイを飲んだ。
他客の注文を見ていると、やはりチャーハンが一番人気。
タンメン、麻婆丼もよく入り、意外と多いのが天津麺である。

ある日、その天津麺に挑戦すると、
わっ!どんぶりにデカいカニ玉が覆いかぶさってるヨ。
半ライスを所望し、割り箸でカニ玉をズルズルと
ライス上にたぐり寄せ、即席天津丼を誂えた。
残った麺は素ラーメンというより、かけそばだネ。
カニ玉はたぶん玉子3個分、ライスもつけちゃったから
完食後はグルジ~い! グウの音も出なかった。

=つづく=