2019年12月25日水曜日

第2292話 一皿に やっこ豚バラ カキフライ (その1)

アカデミックな上野のお山をそぞろ歩いた昼下がり。
両大師橋を渡り、スロープを下って下谷から入谷方面。
あまり自己主張することない、マイ・ストマックが
控えめに空腹を訴え始めた。
本日与えたのはミルクティー1杯のみ、さもありなん。

言問通りと昭和通りが交わる入谷交差点近くで
1軒の洋食屋を見つけた。
今までまったく気づかなかった「キッチン R」。
コレ、名前を隠したイニシャルじゃなくって正式名称だ。

店先のボードに記された、
カキフライ定食(960円)が足を止めたのだ。
ハイッ、今日のランチはかきフライで決まりっ!

13時を回っているのに、けっこうな客入りである。
ザッと数えたらカウンター5席にテーブル16席。
これを四十代くらいの男性がたった独りでさばいている。
接客・調理・会計、ぜえ~んぶ独りきり。
この時間でこの様子だからピークの12-13時は
てんてこ舞いどころか死にもの狂いであろうヨ。

スゴいね~!
エンプロイヤーならいいけれど、
エンプロイイーだったら
セブンイレブン並み(もちろん本部)の超ブラック企業だぜ。

カキフライ定食は4個付けと明記されている。
ほかにカキフライ盛合せ定食(1060円)があり、
ハンバーグ、豚スタミナ焼き、おろし豚しゃぶ、メンチカツ、
エビフライ、アジフライ、ハムカツ、チキン南蛮などと、
組合わせるシステムだが

”相方によりカキフライの個数が変わります”

とあった。
へェ~、面白いなァ。
豚肉のスタミナ焼き(ニンニク風味)とのコンビでお願いする。
はて、カキは何個で来るのやら? こりゃ、楽しみだ。

孤軍奮闘の男性が運んでくれたお冷やからレモンが香る。
ときどき遭遇するが、お冷やにレモンは好みでない。
おっと、グラスの底にスライスが1枚沈んでいる。
原価はバカにならないだろうに—。
まさか、使い回しってことはないよなァ、
余計な心配までしちまうヨ。

はたして盛合せのカキフライは2個。
そうかァ、3個は欲しかったが、まっ、順当だろう。
それよりも副菜の陣容が半端じゃない。
豪華絢爛と言うか、満艦飾と呼ぼうか、
ワンプレートにすべて一緒盛りで
ワンチームを形成していたのでした。

=つづく=