2020年1月7日火曜日

第2301話 しば柴 又また (その2)

初めて食べた「高木屋老舗」のおでんはなかなか。
殊にがんもどきが良かった。
店内に貼り出された写真は寅さん映画の出演者一色。
これはこれで楽しめる。

2本目のビールはガマンして次の目標「寅さん記念館」へ。
やはり見どころは「くるまや(旧とらや)」のセット。
実際に映画で使われたものだけに親近感もひとしお。
併設された「山田洋次ミュージアム」に回って退出。

高台から江戸川を臨んだ。
利根の川風ならぬ、江戸の川風がほほに冷たい。
「大利根無情」に取って代わった「大江戸無情」なり。
前週は北へ歩いたので、今週は南に向かうつもりも
この風では断念せざるを得ない。
陽射しがあるだけに歩けないのが残念だった。

柴又駅に戻り、京成金町線で隣りの高砂へ。
高砂行きのプラットフォームは映画でもおなじみ。
なぜか寅さんは相対する金町行きには乗らない。
なぜか?
ターミナルの上野駅に向かうのに
金町経由だと、北千住で乗換えなきゃならないからネ。

金町線は京成本線から横に飛び出た全3駅だけの単線。
東京メトロ丸の内線の中野坂上―方南町、
同千代田線の綾瀬―北綾瀬、
東武大師線の西新井-大師前など、
J.C.はこういった短い飛び出し線を
”盲腸線”と呼ぶことにしている。

京成高砂で乗換え、到着したのは京成小岩。
ここから10分ほど柴又街道を南に歩けば、
呑ん兵衛たち垂涎の町、小岩である。
JR総武線・小岩駅改札前には第44代横綱、
栃錦のブロンズが設置されている。
そこを横切って彼の故郷、南小岩方面に出た。

狙いを定めた焼きとん「一力」は記憶違いがあり、
道1本ズレてしまい、裏口からの入店。
オモテの店先では炭火が熾され、串がどんどん焼かれる。
焼いても焼いても持ち帰り客がひっきりなしで
焼き手の店主は大忙しだ。

コの字形カウンターは昭和そのもの。
しかも20~30年代を彷彿させ、
おっさんずラブをかき立てまくる。
こういう場所に来たことのない相方は
初体験に目を輝かせている。
それもギンギラギンにさりげなく。

=つづく=

「高木屋老舗(ろうほ)
 東京都葛飾区柴又7-7-4
 03-3657-3136