2020年1月16日木曜日

第2308話 大陸から 半島から (その3)

都内に唯一残った都電荒川線の東の果て、
三ノ輪橋駅は荒川区にあり、地番は南千住。
一方のメトロ日比谷線・三ノ輪駅は台東区・三ノ輪。
「海月(みつき)」は南千住1丁目で
商店街、ジョイフル三ノ輪に同じくだ

ケチャップの出し方に感心した。
フツーはウインナーの傍らに添えるだろう。
こんなところにもデリカシーがにじむ。
いや、日本人以上だネ。

越乃寒梅の冷酒に切り替えた。
40年前、一世を風靡した越後の酒は好きだ。

「歌、唄いませんか?」と彼女に問われ、
「初めての店に来てシラフじゃ唄えないヨ」
「それじゃコレ飲み終わったら・・・」
「歌の代わりに玉子焼き食べようかな?」
「ハイ、甘くしますか、しませんか?」
「ん? そうだネ、砂糖入れてちょうだい」

玉子焼きの甘辛選択はよくあるケースながら
外国人に訊かれるとは思わなんだ。
しかるに、焼き上がった玉子焼きはあまり甘くなかった。

寒梅のあと、黒霧島のロックを1杯飲り、
グループ客の到来を潮にお願いした勘定は3千円。
商店街が開いていれば、足を踏み入れなかった店。
ここは当たりである。
でもネ、モクモクの煙草の煙、
ときとしてガナり散らすカラオケに耐えられる人に限る。

上野か浅草に廻るとするか?
日光街道に出たとき、通りの向こう側、
JR常磐線のガード下に居酒屋を発見。
当たりが続くワケはないと思いながらも引き戸を引いた。

「花りん」のカウンターにはきこしめした先客一人。
切盛りするのは女将独り。
壁の品書きにチャミスルなんかもあり、
女将は半島出身者と思われた。
ニ世、あるいは三世かもしれないがネ

「海月」といい、「花りん」といい、
正月早々、店を開けるママや女将はあちらの人ばかり。
アサヒの中瓶をもらうと、突き出しは韓国製かな?
派手な正月模様のかまぼこに
里芋とほうれん草を炊いたのが出てきた。
黒霧島のロックにスイッチする。

続々と客が詰めかけて、みな常連の様子だ。
カウンターが狭苦しくなってきたから新顔は退散。
三ノ輪橋駅の公衆トイレで用を足し、
そのまま早稲田行きのチンチン電車に乗り込んだ。
言っときますけどコレ、駄ジャレじゃないっすヨ。

=つづく=

「居酒屋 海月」
 東京都荒川区南千住1-15-5
 090-1052-7459

「花りん」
 東京都荒川区南千住2-1-1
 03-3801-0177