2020年1月23日木曜日

第2313話 こんなに出て来てワンコイン

いつものようにヘアカットへ赴く途中、
メトロを降りた千代田線・日比谷駅。
日比谷通りを新橋に向かい、南へ歩く。
歐陽菲菲のデビュー曲、
「雨の御堂筋」が脳裏をよぎるけれど、
大阪在住の五月蝿い小姑・らびちゃんに
またブウブウ言われるからやめとく。
もっとも舞台が大阪なら
大阪人は受け入れてくれるかもネ。

菲菲は、”あなたをたずねて”南へ歩いたが
J.C.は、”洋食屋をたずねて”南へ歩いている。
到着したのは西新橋の「キッチン 岡田」。
初老のシェフが独りきりで営む店だ。

先客はゼロ、長い逆L字形カウンターを独り占め状態。
ビールは控え、日替わり定食をライス半分でお願いした。
コンソメ風スープとキャベツ主体のサラダが供される。
醤油味のスープはコンソメとうどん出汁のブレンド風。
胡椒が主張するものの、洋食屋のイメージにはほど遠い。
拍子切りのにんじん1片と貝割れが散るサラダは
野菜よりもドレッシングが秀にして逸。
ニンニクと玉ねぎのパンチが効いている。

メインプレートとライスが運ばれた。
主役のチキンソテーはもも肉使用の生姜醤油味。
小さめながらカニコロッケ&ヒレカツが脇を固める。
繊切りキャベツと自家製マヨネーズが添えられる。

ドレッシングといい、マヨネーズといい、
町場の洋食屋のレベルを超えて
店主はホテル出身じゃなかろうか・・・。
あらためて風貌をうかがい見ると、
人品骨柄、卑しからぬものがあった。

おっと、ライスが白飯じゃないゾ。
玉子と玉ねぎの玉々ピラフだ。
ていねいに炒まって
バターの香りがうっすら立ち上る。

この定食がたったの500円とはビックリだが
単なるビックリではなく、もはや驚愕に近い。
そしてどうしても
ワンコイン・ランチの料理人とは思えない。
それなりの修業に裏打ちされた技量を感じる。

価格設定は考えに考えた末の結果だろう。
高利益は望めずとも、この値段なら客は必ず来る。
さらに人件費をかけなければ、つぶれる心配はない。
家賃は高くとも新橋と神田はあくまでもオヤジの街だ。
老若を問わず、近隣の勤め人には応援してほしい。

「キッチン 岡田」
 東京都港区西新橋2-6-1
 03-3508-7759