2020年2月4日火曜日

第2321話 公園・病院・商店街を歩く

味噌汁のシミが目立たなくなったので歩き始める。
踏切を南に渡って世田谷文学館へ。
10年ほど前、一度だけ訪れたことがあるが
別段、展示物に見入ったわけではなかった。

それじゃあ、何故にオマエはここに来た? ってか?
ヘヘ、目当ては美しく群れを成して泳ぐ錦鯉なんざんす。
湧水ではなかろうが
カスケイドまで備えた池の水は透明度が高い。
鯉たちはそれぞれに美しい模様を競い合うかのようだ。

普段、見慣れている不忍池の鯉にも
真鯉だけじゃなく緋鯉が混じっているが
文学館の鯉とは比べるべくもなく、
あっちの鯉はどうしてもブチャイクに見えてしまう。

錦鯉となると、思い出されるのは目白の田中邸。
ロッキード事件の際には

ピーナツのエサで目白の鯉太り

なんて揶揄されたりもしたが今の三悪人、
いや、アッキードを加えて四悪人か―。
きゃつらより角さんのほうがずっと善人だった。
これは間違いないって―。

しばらく鯉たちを愛でて文学館をあとにした。
15分ほど歩き、やって来た芦花公園は
戯れるガキンチョのカン高い声が耳障りだが
園内にある恒春園は打って変わって静寂に包まれる。
明治末期から昭和の初めまで、晩年の徳富蘆花夫妻が
20年を過ごした旧宅がここに保存されている。
すぐ東側を交通量の多い環八が走っていても
車の騒音はここまで届いてこない。

その環八を北へ歩くと、10分ほどで京王線・八幡山駅。
駅周辺に飲食店が散在するものの、活気に乏しい町だ。
そばに大きな道路があっては
町の発展、繁栄が制限されてしまうのだろう。

当駅の乗降客は都立松沢病院の関係者が多い。
近世のわが国の精神治療における一大権威がこの病院だ。
1919年、この地に移転して来た当院の前身は東京府巣鴨病院。
さらにさかのぼれば、上野恩賜公園内にあった、
東京府癲狂院(てんきょういん)である。
往時の精神病院はこう呼ばれていたが
何と、おぞましい活字の配列であろうか―。

広い院内の敷地を歩いてみた。
患者と思しき人たちも家族や看護師に付き添われ、
外気を吸い込んでいる。
のどかで平和な光景が拡がっていた。

上北沢、桜上水の商店街を徘徊した末、下高井戸に到着。
駅前市場の鮮魚店を見て廻り、
はて、これからどうしたものよのぉ?
明大前までもう一駅歩こうか、それとも・・・。
夕闇に迫られながら改札口を目指し、
エスカレーターに乗りました。