2020年2月21日金曜日

第2334話 変わり果てたるビーフカツ (その2)

人形町の{キラク」でメニューを手にしたところ。
ありゃあ、品数がずいぶん減ってるゾ。

ビーフカツライス 2500円
ポークソテーライス 2000円
豚ロースカツライス 1500円
ハンバーグライス(昼のみ)1350円

以上4品だけでカレーやハヤシが見当たらない。
気に入りのポークソテーと迷いながらも
長いブランクを埋めるため、名代のビーフカツを通す。
通したはいいが、一向に調理が始まる気配がない。
それもそのハズ、料理人がいないのだ。
よって揚げ油の鍋に着火もされない。

しばらくして奥から料理人が現れた。
何だかヘンな雰囲気。
客が少ないこともあって店内に活気というものがない。
先刻、目撃した「そよいち」の繁盛ぶりとは雲泥の差。
勝敗は残酷なほどにあからさまだ。

15分で整ったプレートには薄いビーフカツが3枚。
それぞれ4つにカットされて計12切れ。
デカいさつま揚げが並ぶ景色が目の前にあった。
脇にはキャベツとマカロニサラダがちょっぴり。
マカサラは古くから当店の名物なのである。
ライスは多めの盛付けだった。

醤油・ウスター・中濃ソースが卓上に備えられ、
なぜか中濃だけに”ブルドッグ”の貼り紙あり。
おそらくウスターも同社製だろう。
何も付けず1切れを口元に運ぶ。
う~ん、何だかなァ・・・そこそこの美味しさだが
見た目ともども変わり果てていた。
マカサラも昔の味ではない。
失望感だけが降り積もるヨ。

箸袋に”外吉”の2文字を
デフォルメしたロゴが印刷されている。
長谷川外吉、この人こそが
「キラク」の創業者にして初代シェフ。
前述の「そよいち」も分かれた当初は
「そときち」を名乗っていたが
こちら側からクレームがついたようで
「そ〇〇ち」の〇部分の変更を余儀なくされた由。
名は奪われたものの、繁栄を勝ち取ったことになる。

昔の「キラク」を偲ぶよすがは
青色シートの表面が剥げちょろけた丸椅子のみ。
まぎれもなくこの椅子は先代からのものである。
苦い思いを引きずりながら人形町をあとにした。

その足で直行したのは御徒町の「味の笛」。
アサヒの工場より直送される生ビールをまず1杯。
続いて黒生と同割りのハーフ&ハーフを1杯。
「キラク」でパスしただけに美味さもひとしおだ。
高野豆腐とがんもどきの炊き合わせをつまみに
冷えた麒麟山も1杯飲った。
やけにキリンづく今日この頃である。

そうそう、帰宅後に食した「志乃多寿司総本店」の
鰤と千枚漬の押し寿司はなかなかオツなものでした。

「洋食 キラク」
 東京都中央区日本橋人形町2-6-6
 03-3666-6555

「味の笛 本店」
 東京都台東区上野5-27-5
 03-3837-5828

「人形町 志乃多寿司総本店」
 東京都中央区日本橋人形町2-10-10
 03-5614-9300