2020年2月7日金曜日

第2324話 どうにもならない秋葉原

去年の11月にイヤイヤ行ったばかりの秋葉原。
またもや出掛ける破目に陥った。
早々に所用を済ませたら長居は無用。
近場に移動して昼めしにいたそう。

と、思ったときにひらめいた。
このくだらん街には「赤津加」があるじゃないか!
まさに街の救世主、掃溜めに鶴ならぬ、
どぶ川に鮎の泳ぐ姿が目に浮かんだ。

居酒屋というより酒亭と呼びたい「赤津加」は
平日に限り、ランチタイムも営業している。
この大事なことをうっかり見落としていた。

数年ぶりに敷居をまたぐと、
「いらっしゃいませ~! カウンターへどうぞ」-
明るく迎えられ、着座する間もあらばこそ、
「今日の焼き魚は鮭の味噌漬けで~す!」
器量良しのお運びさんにたたみ掛けられる。

本日の定食は6種。

若鶏竜田揚げ―800円 煮魚(わらさ)―850円
焼き魚(鮭味噌漬け)―900円 山かけ―850円
天麩羅―1050円 炙りまぐろとねぎとろ丼1000円

当店のラインナップ中、
注文することの多い、山かけをお願いした。
他店ではあまり見掛けぬ定食だからネ。

10分足らずで整った膳には山かけのほか、
小冷奴、タコと野菜の煮もの、きざみ高菜とたくあん、
わかめと油揚げのかき玉汁、ごはん。
以前と比べ、やや貧相な感じがした。

客のほとんどが中間管理職と思しきオジさん。
焼き魚が8割、煮魚が2割で
J.C.の滞空時に他の定食は一つも出なかった。
この偏りはどうしたものだろう。

最初に口をつけた味噌汁がぬるい。
硬めに炊かれたごはんはパサつく。
これが「赤津加」の汁と飯なのか―。
こんな店じゃなかったハズだ。

山かけに投入された、まぐろのブツ切りは
赤身2つ、中とろ1つの計3粒。
大きめにカットされているが、ちょいと淋しい。
煮もののタコはアタマ(実は胴体)。
刺身やブツにはならない部位だ。
漬物は出来合いだし、欠点ばかりが目立つ。

傷心のまま暖簾をくぐり返して歩く秋葉原の街。
前方にヘアキャップ姿のメイドが数人、
立ちん棒だが、どの娘も声を掛けてこなかった。
いいんだヨ、今日は一人にしといて欲しいんだ。
ん? そうじゃないって?
客としての消費期限がとっくに切れてる、ってか?
ハイ、ごもっとも。

「赤津加」
 東京都千代田区外神田1-10-2
 03-3251-2585