2020年7月24日金曜日

第2444話 友、横浜より来たる (その1)

長いこと、友人・知人との飲食を控えてきたJ.C.も
ポツリポツリと解禁の兆しを見せている。
この日の相方は横浜からやって来た。
あいにくの雨模様、ぶらぶらせずに
新橋駅前ビル地下をハシゴする腹積もり。
新橋駅の地下改札で出迎えた。

♪   汽笛一声新橋を
  はや我汽車は離れたり
  愛宕の山に入り残る
  月を旅路の友として ♪
  (作詞:大和田建樹)

明治生まれの「鉄道唱歌」はウルトラロング・ソング。
その第一集・一番で新橋を発った我汽車は
五番で横浜駅に到着する。
日本初の鉄道は新橋―横浜間に敷かれた。
今日の相方はその走行区間を逆走してきたわけだ。

4ヶ月ぶりの再会につき、
すかさずグラスを合わせよう。
意気揚々と地下で連結するビルに入館したものの、
土曜のせいで開いてる店が少ない。
しかもまだ14時だもんねェ。

こんな時間から飲み始める不届き者が
1階に上がると、幸い雨も上がっていた。
新橋は言わずと知れた銀座の隣り街。
銀座となれば、服部時計店の時計塔に次ぐ、
街のランドマーク「ライオン 銀座七丁目店」が第一感。
サッポロライオン・グループの旗艦店に向かう

これが思わぬ効果を発揮した。
初訪問の相方は完全に雰囲気に飲まれている。
そりゃ、そうだろう、洋の東西を越えて
これだけのビヤホールはほかにない。
ミュンヘンの「ホフブロイ・ハウス」を凌駕し、
J.C.的には世界一、二を争うほどだと思う。

「スゴいねェ、いいなァ、素敵、ボンヤリしちゃう」
「ん? ボンヤリ? それを言うならウットリだろ」
「あっ、そうか!」
けして悪いヤツじゃないんだが
オツムはあんまりよくないネ。

サッポロ黒ラベルの中ジョッキをガッチンコ。
泡少なめのリクエストに
快く応えてもらってゴキゲンなり。
更にビール会社の直営店とあって
此処の<中>はヨソの<大>に匹敵する。
これがうれしい。

=つづく=