2024年9月11日水曜日

第3621話 丼と 南蛮あれど せいろナシ

浅草寿町行きのバスを
荒川区・三ノ輪の大関横丁で降りた。
昼は鮮魚ととんかつ、
夜はそれらを主とした居酒屋にして
昼飲みも可能な「大八」に着くと、
あいにくの定休日。

仕方なくジョイフル三ノ輪をトボトボ。
昭和のパン屋「オオムラ」は
オーヴンの調子が悪いとかで長期休業中。
亡きめしとも・金ピカ先生と来た、
アチラ系中華は開いていたが
どうも中華の気分になれない。

日本そばの「大むら」があったな。
商店街がほぼ尽きる頃、暖簾が出ていた。
同じ商店街に「オオムラ」と「大むら」だから
パン屋とは縁戚関係にあるかもしれない。
そうだ、あとで訊いてみよう。

引き戸を引くと先客ゼロの店内。
遠慮がちに四人掛けテーブルへ。
ドライ中瓶をトクトクやって
壁の品書きに見入る。

真っ先に目を引いたのは、お皿四兄弟。
あなご皿・牛皿・かつ煮皿・
親子煮皿と来たもんだ。
あなご好きは即あなご皿に行きかけたが
待て、待て、ちょっと待て。
考え直せ、もう一度。
あなご丼やあなご南蛮もあるゾ。

そうだなァ・・・あなごせいろにするか。
店主に訊ねたら、あなごせいろは無い。
代わりにすすめられたのが
あなご皿&もりそばの組合せ。
ふ~む、それもいいでしょう。

運ばれ来たる皿を一見して理由が判った。
穴子は天ぷらではなく煮穴子。
これではせいろ仕立てにならないや。
鰻蒲焼きにも似た煮穴子をつまむ。
かなり甘ったるく何だかなァ。

もりそばはまずまず。
ただし、刻みねぎと大根おろしは好いが
山葵と、珍しくも生姜は
どちらもチューブと来たもんだ。

ガッカリしたせいでもないけれど
パンの「オオムラ」との関係を
訊きそびれちまいやした。

「大むら」
 東京都荒川区南千住1-21-4
 03-3807-5674