「おおつか」は下谷随一の居酒屋。
下谷随一と言っても狭いエリアだから
飲食店の数に限りはあるが
魚介の品揃えは台東区でも指折り。
入店したらジモティの大宴会の真っ最中。
ワイガヤワイガヤ騒音の極みだ。
十数人中若い娘は一人きり。
この光景に J.C.の脳裏を掠めたのは
終戦後に発生したアナタハン島女王事件だ。
事件についてつまびらかにしないので
興味のある方はググッて下さい。
単身者か二人連れ用の細長い、
逆コの字形カウンターに腰を下ろす。
さっき2本飲んだドライ中瓶をもう1本。
壁に貼られた品札はおびただしい数。
目移りしながらも
キューバンに目を射抜かれた。
蛸のキューバンに相違ない。
好物につき、迷わず発注に及ぶ。
すると・・・小鉢にチョコッと来た。
コレで700円かい? それはないやろ?
すると・・・追っかけでもう一鉢。
こっちはタップリ入っている。
先に来たのはお通しだった。
目鼻立ちの整ったオネバさん曰く、
「似たようなのになっちゃってー」
「ホントだネ、でもいいヨ、許すヨ」
コイツは水ダコのソイツに間違いなし。
蛸キューは歯ざわりが命。
何とも快適、自ずと頬が緩んだ。
清酒に移行と思ったものの、
芋焼酎に切り替えた。
富乃宝山をロックでお願い。
空腹感はまったくないが、もう1品いこう。
ん? 塩すじこ巻か? これも好物だ。
醤油漬けより塩すじこが断然いいしネ。
昭和の東京オリンピックぐらいまで
庶民のちゃぶ台を彩ったのは鱈子と筋子。
イクラなんざ、まだ庶民の口には
入らなかった時代である。
ところが現在、筋子の生産量は
イクラの数%にまで落ち込んだという。
8切れカットの塩すじこ巻は旨かった。
お勘定は3100円也。
外国人だらけの繊維街、
日暮里中央通りを歩いて帰りました。
テクテクとー。
「おおつか」
東京都台東区下谷3-11-9
03-6676-5069