2011年9月29日木曜日

第151話 塀の外をすり抜けて (その2)

足立区・綾瀬で地元の絶大な支持を得ている「味安」に入店。
待合わせたというよりも、呼び寄せたカガクくんの姿を探し、
店内を見渡せば、おっ、居ました、居ました、小上がりにちゃあんと。
並んでいる客が居たから懸念したものの、
杞憂に終わって何よりであった。

1階の10席ほどのカウンターは主に単身客用。
小上がりは喫煙席と禁煙席に分かれ、
それぞれ4X4の16席ずつ。
たまたまかもしれないが喫煙席の需要のほうが高く、
順番待ちのファミリーはそちらが空くのを待っていた模様。
そういえば、旦那が煙草をプカプカやってたっけ。
まだまだスモーカーの絶えぬ日出ずる国である。
2階にも席があるが、そちらの様子は判らない。

多彩なメニューの中からカガクくんが選んだのはCセットなる定食。

おかずが他店の1.5倍はありそうだ

内容は、トンテキ・鳥唐揚げ・あじフライ・切干し大根・
白菜浅漬け・わかめ&油揚げ味噌汁・ごはん。
ごはんの盛りがすこぶるよいが
若いカガクくんならこれくらいへっちゃら、へっちゃら。

当方はキリンラガーの生中に焼きたら子をお願い。
セロリのきんぴらか竹の子土佐煮あたりを
頼んでおきたいところなれど、
このあと東武伊勢崎線・五反野に流れる腹積もり、
その腹に余裕を持たせるため、パスしておく。
トンテキのおすそ分けもあったことだし、これで諒とした。

料理の味は可も不可もなく、なんとか及第点はつけられよう。
ガッツリ食べたい若者や子連れファミリーには
かなり使い勝手がよいと思われる。

久保田・八海山・越乃寒梅・〆張鶴、
やたらめったら新潟の酒ばかりが並ぶ品揃えに
1杯飲ってみる気になったが1軒目から日本酒はキツい。
よって生ビールのお替わりにした。

「もう腹いっぱいで食えないッスよ!」
「いい若いモンが何のこれしき、甘ったれるんじゃない!」
そんなやりとりを交わしながら進路を真西にとって歩みを進める。
これで振分け荷物にわらじ履きであったなら
「東海道中膝栗毛」の弥次郎兵衛と喜多八さながらだ。
ちなみに膝栗毛とは
自分の膝を駿馬の栗毛に見立てた歩き旅のことをいう。
博学な読者におかれてもこれは知らなかったっでしょ?

途中、今にも崩れ落ちそうな廃屋に遭遇。

よくぞ震災に持ちこたえたものよのう・・・

そうだ、五反野では久々に「駿河屋」を訪ねてみよう。
前回の訪問は震災の翌日だった。
「山形の宮城寄りにいる親戚と連絡が取れないんですよォ」―
店を切盛りする老夫婦が案じていたっけ・・・。

ともあれ歯のない老人でも噛み切れる、
あのヤワなラーメンを若者に馳走してやろうじゃないの。
クックッ、今にももれそうな意地悪い笑みを
必死に噛み殺すJ.C.でありました。

「味安」
 東京都足立区東綾瀬2-4-2
 03-3620-7000